ガイドラインに荷主も協力を

1日、富山県で初めて全国陸上貨物運送事業労働者大会が行われた。主催者の陸運労災防止協会が国の第13次労働災害防止計画など踏まえ、独自に策定した新5か年計画をスタートさせての開催となった。

目標達成年次は、2018年度から22年度まで5年間で、前計画期間中に発生した死亡災害総件数に対し、15%以上減少させることなどを掲げた。前期間中に発生した死亡災害者数は600人。つまり90人以上減少させ、510人以下としなければならない。

年平均だと102人以下を求められたが、これまで最も減少させたのが16年度の99人だった。この年度以外で102人以下は見当たらず、極めて意欲的な挑戦であることが分かる。

労災防止計画策定では、常に「労働災害は本来あってはならない」との言葉が付けられる。道路貨物運送事業に限らず、全産業で人手不足対策が課題となっている今だからこそ、この言葉を噛みしめたい。

トラック運転者の労働災害の要因の一つに、残業などでの長時間労働が大きく関わっている。国などをはじめとして、改善に向けた取り組みが打ち出されてきている。

先週6日に国交、経産、厚労の3省がトラック運転者の長時間労働改善に向けたガイドラインを公表した。全国で実施したパイロット事業の取り組み事例が示され、様ざまある長時間労働の原因ごとに、その解決に至った成功事例へ導く手法が分かりやすい。

6月の働き方改革関連法成立に伴い、時間外労働に上限規制が導入されることが決まった。自動車運転業務は適用が5年間猶予され、年960時間とされた。月に換算すると80時間となるが、80時間は健康障害が生じるなど過労死のリスクが高まる水準だとされている。

過労死認定の対象疾病は、脳梗塞や心筋梗塞などの脳・心臓疾患となる。肥満など生活習慣病が基礎疾患として大きく関わっているが、これらに加え長時間労働が過労死を助長していることをあらためて認識しなければならない。

ただ、長時間労働の改善は、自助努力だけでは進まないこともガイドラインは強調している。運転者の労働時間を短縮することで、荷主も物流コスト削減などのメリットがあることも挙げた。昨年7月から荷主関与の判断基準を明確化するなどの新たな荷主勧告制度も始まった。

手待ち時間など運転者の長時間拘束につながる一方的な荷主都合は、結局自分に跳ね返ってくるのだということを知ってもらいたい。