より実効性高める対策を

国土交通省は新たに「自動車運送事業安全対策検討会」を発足した。その下に飲酒運転対策や運行管理高度化、健康起因事故防止など個別ワーキンググループ(WG)を設置し、事業者の実効性を高めるより効果的な対策を検討する。
事業用自動車の事故対策では2007年創設の「交通事故要因分析検討会」でマクロ、ミクロの視点で分析・調査し具体的な安全対策を議論。14年に「交通事故対策検討会」に移行し、事故発生傾向の分析とともに個別テーマのWGや協議会が派生、各会議体で議論を進めながらマニュアルなど整備を図ってきた。
これらの取り組みもあり事業用自動車に係わる交通事故件数はこの9年間で半減した。しかし直近の2022年度はトラックほか各モードとも前年比増加に転じている。
こうした中で今後は新たな検討会が中核となり、これまでの取組内容やマニュアルなどの事項を事業者が確実に活用していくよう、配置する関係WGと連携しながら実効性を確保していく考えだ。
個別案件の1つ、飲酒運転は「ゼロ」目標に対し、検討会の報告では昨年度の飲酒事故は37件(うちトラックで34件)と前年の33件(トラック32件)を上回る。国交省メールマガジン(事業用自動車安全通信)によると今年度も飲酒事故は後を絶たない状況だ。
対策として専門医受診による依存症の確認や独自のマニュアル作成、家族への協力文書の発出など、事業者の優良取組事例を横展開する周知策などを進めている。
さらに今後は依存症の疑いを早期発見できるスクリーニング検査の効果的な運用など、飲酒運転防止マニュアル(仮称)を年度内にも作成、事業者の自主的な行動を促す。
健康起因事故防止ではこれまで協議会においてSASや脳血管疾患、心疾患に視野障害の各ガイドライン・マニュアルを策定、スクリーニング検査を推奨する施策を進めてきたが、マニュアル等認知度も向上し、実際に事業者が活用して確実に実施する手法を検討する。
日常の健康状態のデータについて医学的見地から事業者に把握させるべき項目の調査を行うなど踏み込んでいく。
ポストコロナ、アフターコロナによりモノの動きも変化している。
直近の事故件数は再び増加傾向であり事業者は何より運行管理、確実な点呼の基本を徹底したい。同時に現場の状況、変化を適切に把握し対策に反映させたい。