〝スタートの年〟強く発信

各地で行われた物流関係団体の新年会では、2024年問題への対応を機に「変革」、「革新」といった言葉がよく聞かれた。荷主対策や多重下請構造の是正など国の踏み込んだ施策もあり、「2024年をスタートの年」として機運を高めようとの思いが込められる。
政府の政策パッケージに「物流革新」が掲げられるように、持続可能な物流の実現には、物流事業者、荷主、そして社会全体で課題を共有し解決策を実行に移す必要がある。直面する24年問題の先も、少子高齢化は続き人手不足はさらに深刻化する。こうした中で商慣行を是正し適切転嫁の新たな商慣行をつくり出す動きは大きな追い風だ。
今国会で法制化が検討される規制的措置に注目が集まる。さらに政策パッケージには全体のフォローアップや、施策の効果も含め30年度に向けた政府の中長期計画の策定・公表も盛り込まれる。先を見据え継続的な「革新」が求められる。
日本物流団体連合会(物流連)の新年会のあいさつで真貝康一会長は「未来に向けた物流の姿を関係者で共有し、業界一体となり、荷主、消費者含め物流の最適解を全員で追求する始まりの年」と展望した。物流連が昨年12月に朝日新聞に意見広告を出したことを事例に、広報発信の重要性もあげる。
物流連が新年会に先立ち開催したシンポジウムで、根本敏則敬愛大学教授は、国の検討会で示した〝24年度14%の輸送能力不足〟の試算について「対策がとられ始めており過大評価になっている」との感触を示す。検討会立ち上げ当初は「ここまで荷主を巻き込んだ規制的措置を講じるとは思なかった」とし、多くの荷主が危機感を持ち前向きになったことも実感する。
帝国データバンクの調査によると、物流の24年問題について「対応する(予定)」と回答した企業が6割以上を占める。具体的な対応策として「運送費の値上げ(受け入れ)」をあげる企業が4割超と最も多く、適切転嫁の動きも徐々にだが広がりつつある。
一方で同調査では4社に1社は24年問題が差し迫る中でも「特に対応しない」と回答し、対応を決めかねている様子も伺える。また、対応策ではとくに急がれる「荷待ち・荷役時間の把握・削減」が1割に留まる実態も明らかになっている。
24年問題は一過性でなく継続的な取り組みであることを広く周知させる。「革新」の起点となる年初の場での強い発信を続けたい。