「2024」からの新たな筋道

改善基準告示改正へのとりまとめ案が承認され、労働条件分科会への報告を経て12月にも告示改正する。厚生労働省は2024年4月適用後の運用状況を把握し、3年後を目途に実態調査も含め見直しを検討する方向性を示した。9月27日の自動車運転者労働時間等専門委員会で藤村博之委員長が「これで終わりではなく、ここからさらに一般則に向けて労使双方が知恵を出し合いながら進めることが必要」と総括し、トラックの労働者側は「一般則適用に向けたロードマップ」を要望した。
今回の告示改正が、自動車運送業界がこれからの若い人達をより多く引き寄せる〝魅力ある産業〟へと進む新たな1歩と位置づけたい。
約3年にわたり議論を重ねてきた。トラック部会は10回の会合により9月8日の部会でとりまとめたところ。同日の委員会ではトラック、バス、ハイヤー・タクシーの労使代表が、新基準とともに荷主や白ナンバーへの周知、運用状況の把握など方向性を示したとりまとめ案についてコメント、意見した。
基準については労使意見を重ねたもので新たな問題提起はなかったが、荷主への周知や対策、運用状況の把握など適用後に関するところでは重ねて意見、要望が聞かれた。
24年4月の時間外労働上限規制(年960時間)の適用とともに新たな改善告示が施行される。
働き方改革関連法の附帯決議には24年4月以降、一般則適用への検討にあたって「直ちに全面適用が困難でも、一部の規定、事業・業務で先行的に適用することを含め検討」が求められている。
厚労省ではこれに加え、トラック労働者側が要望する属性を分類した「実態調査」や「脳・心臓疾患による労災支給決定事案の要因検討」、使用者が要望する「長時間荷待ちが改善告示厳守に与える影響」「行政による荷主対策の実施状況」等も踏まえ、運用状況を把握することで3年を目途に見直しを検討することとした。
トラックは荷主への周知が大きく影響する。バスも今般、貸切バス利用者等発注者への周知を図ることとし、とりまとめには「取引慣行など個々の事業主の努力だけでは見直しが困難なものがある」と記載している。
「2024年問題」へ様ざまな対策が講じられているが、実態に即し是正されない要因分析を追求していく必要がある。「2024」を起点に、魅力ある産業へと進化していく筋道をしっかりと描きたい。