「物流の革新」を具現化

国土交通省自動車局が発表した来年度予算概算要求では、政府の物流政策パッケージの反映など「物流の2024年問題の解決等に向けた物流の革新」で182億円、今年度当初予算(21・5億円)比で大幅に拡充した。
自動車局は10月に総合政策局の物流部門と統合した物流・自動車局(仮称)への改編を控え、概算要求も一括で取りまとめた。24年問題対策が大きな柱となる。カーボンニュートラルへの対応も含め抜本的・総合的な対策を盛り込んだ。
182億円の内訳をみると、財政投融資を活用した物流施設・DX・GX投資の支援145億円(今年度予算20億円)に、一般会計で物流の効率化、荷主・消費者の行動変容35・5億円(同1・5億円)と、商慣行の見直し1・7億円である。
物流の効率化、荷主・消費者の行動変容の各項目では「物流GXの推進、荷主・消費者の行動変容」12・7億円、「物流DXの推進」6・2億円、「物流標準化の促進」4億円、「多様な人材の確保・育成」11・4億円、「物流拠点の強化」11・1億円となっている。
従前の物流部門予算措置やトラックの働き方改革に関する継続措置も含まれ各項目とも拡充されている。
商慣行の見直しは新規で、先ごろ始動した「トラックGメン」によるプッシュ型の情報収集や、貨物事業法による荷主への是正措置の実効性をそれぞれ強化するものだ。
加えてモーダルシフトの環境整備や、再配達削減に向けた支援策を事項要求で行う考えで、これらを強力に推し進め「物流の革新」を具現化させたい。
自動車局の新体制は業務面では既に物流部門との一体化が進めれているが、さらに来年度の組織要求には「物流施策の省内外横断的な連携や規制的措置に係わる体制強化」を盛り込み、物流政策課に物流革新推進室を新設するという。物流政策を自動車のほか鉄道、海事、航空各モードとも横断的に連携するための体制を継続強化する方向だ。
政策パッケージには中長期的に取り組む枠組みを次期通常国会での法制化も含め確実に整備することとしている。商慣行の見直しや物流の効率化、荷主・消費者の行動変容などに関して各省庁でも様ざまな検討が急ピッチで進められているが、スピード感とともに措置を実効性あるものとしなければならない。
省庁の緊密な連携にも自動車局の新体制が中核となりしっかり機能することが重要である。