特積大手が共創加速、物流コンソーシアム本格稼働

中継輸送の実証開始

特積事業者など11社で構成する物流コンソーシアム「baton」は20日、2026年2月から複数事業者によるドライバー交換方式の中継輸送の実証運行を開始すると発表した。「baton」は昨年11月に発足。セイノーホールディングス、第一貨物、トナミ運輸、トランコム、新潟運輸、ハコベル、福山通運、名鉄NX運輸の8社と、東京海上ホールディングス、東京海上スマートモビリティ、東京海上日動火災保険が参画する。特積事業者で過半のシェア持つ。参画運送事業者の輸送最上位20路線を中心に運行データを収集、約1万3000便/週のルート・積載率・運行時間帯・曜日などを分析し、有望路線を14路線に絞る込んだ。うち2路線で実証する。西濃運輸と福山通運(藤沢・厚木―堺)、名鉄NX運輸とトナミ運輸(東大阪―葛西)の各2社間で行う。ともに中継地点は浜松。実証にあたり、車両、ドライバー、貨物などのリスクを整理し「リスク負担ガイドライン」と、「中継輸送協定署ひな型」を作成した。実務面では伝票の取り扱いや荷扱い方法など各社で異なる運用を調整。これらを含め車両の合流、荷役、運行の一連のプロセス遂行などを検証する。結果を踏まえ、対象路線の拡大や共通データベース、複数の輸送便を組み合わせるアルゴリズムや各事業者が使用できるアプリケーションの開発を検討。参画企業の拡大も視野に入れる。中継輸送のほか物流施設の整備、ドライバーマネジメント、リスクマネジメントの4つの分科会を立ち上げ、活動を本格化する。同日都内で会見し、各社トップがコメントした。セイノーHDは、既に同業16社と75地域で共同配送を展開するが、「1対1の連携にとどまらず、共創を加速するには、業界全体で共通の基盤づくりが不可欠」(髙橋智西濃運輸社長)。各社データ共有と東京海上のリスクマネジメントが強み。「中立的立場でリスクマネジメント、データ分析ができることに意義がある」(髙田和夫トナミ運輸社長)、「東京海上の旗振りで協創の規模拡大、スピードが上がる」(熊野弘幸福山通運社長)、「荷主、消費者をはじめ様ざまなステークホルダーに物流の現状を理解いただく契機にしたい」(吉川拓雄名鉄NX運輸社長)と期待を示す。

左から城田宏明東京海上日動火災保険社長、吉川拓雄名鉄NX運輸社長、髙田和夫トナミ運輸社長、髙橋智西濃運輸社長、熊野弘幸福山通運社長、小池昌洋東京海上ホールディングス社長