転嫁状況の実態を適切に把握
トラック景況感は小幅ながら悪化傾向にある。全日本トラック協会によると、7―9月期の判断指数は前期から4・1ポイント減少し、3四半期連続で悪化した。輸送数量は特積(宅配含む)が改善傾向だが、一般貨物は悪化。運賃・料金水準は一般貨物、特積ともプラス圏内だが指数は下がり、運送原価の上昇分を十分転嫁できない状況が続く。
直近の指数をみると、2024年10―12月期のマイナス18・2から、25年1―3月期マイナス18・7、4―6月期マイナス20・0、7―9月期マイナス24・1となる。3四半期連続の悪化は、19年10―12月期~20年4―6月期以来だ。
事業環境の不透明感や人材不足、物価上昇などから10―12月期は、5・3ポイント悪化のマイナス29・4を見込む。例年、年末需要で荷動きは活況となり、10―12月期の景況感は上向くが、悪化予想だ。4四半期連続の悪化となると、01年1―3月期~10―12月期以来となる。
トラック運送業界は適正運賃・料金収受に努め、法改正をはじめ取引適正化に向けた国の環境整備も進むが、燃料価格の高止まりや物価高がそれを上回り、企業収益を強く圧迫する。
景況感の判断指数で、運賃・料金水準はプラス圏内であり、これは「上昇」回答が「下落」回答を上回ることを示す。しかし、指数は一般貨物で3四半期連続、特積は2四半期連続で下降している。一般貨物は輸送数量の指数がマイナス圏内で予想も悪化見通し。物量が厳しい中で価格転嫁への影響が懸念される。
一方、上場する物流企業の中間決算をみると、本紙調査で67社中売上高の増収は72%だったが、営業利益の増益は49%と半数割れ。人件費、外注費、傭車費などの営業費用の増加が影響した。価格改定による単価アップが増収に寄与したが、24年問題には継続的な対策が必要であり、物量が先行き不透明な中で、さらなる適正運賃・料金収受が求められる。
高市政権は経済・物価高対策を強力に推し進める。物価高への対応として軽油の暫定税率を4月1日に廃止する考えで、27日には補助金を暫定税率の水準まで引き上げる。トラック景況感には大きなプラス材料に働くと期待したい。
運賃交渉では暫定税率廃止の分、荷主から引き下げを求める懸念も聞かれる。むしろこれを契機に転嫁状況の実態を適切に把握し、あらためて適正原価への理解を促す姿勢を示したい。
