物流コスト比5・36%、JILS調査

前年同一回答比で微増に

日本ロジスティクスシステム協会(JILS、大橋徹二会長)が荷主企業を対象に行った、2025年度物流コスト調査報告書(速報値、有効回答196社)によると、売上高物流コスト比率は5・36%となった。過去20年間で4番目に高い水準を記録。物流事業者からの値上げ要請などを背景に、長期的な上昇傾向が続く。7~9月にかけて実施したアンケート調査をとりまとめたもので、対象は荷主企業の24年度における実績値。前年度比では0・08ポイント低下したが、同一サンプルによる比較が可能な2年連続回答企業(130社)の分析では、前年度比0・03ポイント増の5・75%と微増だった。物流コスト比率を業種大分類別でみると、製造業5・26%(前年度比0・11ポイント減)、卸売業5・57%(同0・38ポイント増)、小売業5・67%(同0・71ポイント減)。2年連続回答企業の比較では、製造業5・81%(同5・78%)、卸売業5・48%(同5・37%)、小売業5・73%(同5・95%)だった。物流コストを機能別に見ると、特に輸送費の上昇が顕著。回答企業177社のうち、輸送費単価が「増加」した企業は88・1%に達した。「横ばい」は9・1%、「減少」は2・8%にとどまる。ほか荷役費は67・7%、保管費(54・8%)、包装費(50.7%)も半数以上の企業で単価が増加した。また、荷主企業75社の自由回答からは、物流コスト上昇の背景には、「物流の2024年問題」に伴う人件費上昇を最大の要因としつつ、インフレによる諸経費高騰や法令遵守への対応コストが複合的に影響している実態も明らかになった。回答企業の前年度に対する変化(増加/横ばい/減少)を指標化したところ、24年度対象の指数は、販売単価(+33)、物流単価(+40)がともに大幅に増加したが、物流単価の伸びが販売単価を上回ったことで、売上高物流コスト比率の上昇につながった。25 年度の指数(見通し)では、販売単価の伸びが鈍化(+14)する一方、物流単価は引き続き高い伸び(+37)を見込み、売上高物流コスト比率は大幅な増加が予想される。今回は速報値であり、今後、調査内容を精査し、確定値を2026年4月に公表する予定。