ラストマイル物流市場、24年度3兆円超

矢野経済研究所まとめ

矢野経済研究所が17日に発表した、国内ラストワンマイル物流市場の調査によると、2024年度の市場規模は、配送料(配送関連サービスを含む)ベースで前年度比5・5%増の3兆900億円と推計した。今後も新たなニーズを取り込み、30年度には3兆9800億円まで拡大する見通し。24年度は全体で荷物量が増加したことに加え、物流費が上昇したことで好調に推移した。配送種別を「宅配便」と、通販事業者やネットスーパー・コンビニ配達などを手掛ける小売事業者、フードデリバリー事業者など「その他BtoC個配」(運送事業者等への委託含む)に分けており、24年度市場規模のシェアは宅配便71%、その他29%となった。物量の動向では、通販事業者を中心に増加傾向で、荷物の小口化が進み個数も増加した。人手不足や燃料費の高騰を背景に業界全体で価格交渉が進み、物流費については、契約運賃が緩やかな上昇傾向にある。大手宅配便事業者では、23年度の運賃改定の反動で取扱個数が減少したことを踏まえ、24年度は法人向け契約単価を一度引き下げて物量を確保する動きとなり、取扱個数は再び増加に転じた。 「その他BtoC個配」事業者では、大手通信販売事業者を中心に宅配便から自社手配による配送網への切り替え・拡大が進んだことに加え、物流費の上昇などが増加要因となっている。25年度の市場規模は前年度比3・4%増の3兆1950億円と予測。中国や韓国など海外のECサイトで商品を購入し、日本に輸入する越境ECや、ふるさと納税の返礼品など、市場全体としては新たなニーズを取り込むことで荷物量は拡大するとみている。「宅配便」では、BtoBからBtoCへの移行が徐々に進み、単価の改善も見込まれ、今後も微増傾向で推移すると予測する。「その他BtoC個配」では、通信販売事業者を中心に荷主の「自社手配による配送」が加速し、今後も荷物量が増加していく見通し。