トラック飲酒事故後絶たず
1~7月前年横ばい
トラックの飲酒運転事故が後を絶たない。全日本トラック協会(寺岡洋一会長)によると、事業用トラックの飲酒事故件数は今年に入り1~7月で20件(物損事故含む、軽貨物を除く)と前年同期の横ばい。国、トラック運送業界が「総合安全プラン2025」の目標の1つに掲げる「飲酒運転事故ゼロ」は未達となり、さらなる取り組みの強化が求められる。表は直近3カ年における飲酒事故・事案件数の推移。今年に入り月次ベースでゼロの月はない。1~7月に発生した20件のうち、運転中の飲酒事案が13件(65%)、点呼未実施事案が9件(45%)確認されている。車種別では大型トラック13件(65%)、中型トラック6件(30%)となっている。死亡事故はないが負傷者は7人。運転中の飲酒事案や大型車による事故が多く、重大事故につながる危険性を抱える。昨年発生した30件の飲酒実態をみると、点呼未実施が13件(全ト協会員11件)、点呼を実施したが酒気帯び確認が不適切な事例4件(同4件)、点呼後の運行中に飲酒した事例8件(同4件)、調査中5件(同4件)である。発覚時刻は正午から深夜が多い。飲酒事故が高止まりにあることから、国土交通省は事業用自動車の「酒酔い・酒気帯び運転に係る行政処分基準」を強化、昨年10月から適用しており、違反事業者には厳しい行政処分が課せられる。全ト協も行政処分の内容を盛り込んだ「飲酒運転防止対策マニュアル」を改訂しておりさらなる周知を図る。全ト協の交通対策委員会では、昨年の「事業用トラックによる重大事故及び飲酒運転防止への対応いついて」(提言)を受け、飲酒事案では、迅速・正確な情報収集体制の強化と再発防止対策を今年度事業計画の重点の1つに取り組んでいる。行政当局に対し飲酒事案の迅速な情報提供を要請し、実態を把握した上で有効な再発防止策を都道府県トラック協会と連携して進めている。各トラック協会ではそれぞれの地域で発生した飲酒運転事案の情報を即時に会員事業者に提供するよう努めている。事故の詳細や行政処分など周知事項をまとめたものがみられ、再発防止策を徹底していく。なお、昨年の事業用トラックによる飲酒事故件数(人身事故のみ、軽貨物除く)を都道府県(車積)別でみると、33府県はゼロである。20~24年の5年間でゼロは岩手、山形、山梨、富山、岐阜、島根、徳島、香川、高知、佐賀、長崎、大分、宮崎、沖縄の14県である。