8月トラック倒産 4カ月ぶり増加
「人手不足」関連高水準
東京商工リサーチ(TSR)が8日発表した8月度の道路貨物(トラック)運送業倒産は、件数が前年同月比23・8%増の26件(前年同月21件)で4カ月ぶりに前年同月を上回った。1-8月期の累計件数では、前年同期比19・8%減の202件(前年同期252件)と3年連続で200件台に乗せたが、件数の増加は抑制されている。負債総額は前年同月比24・6%増の26億5600万円(前年同月21億3100万円)となり、2カ月連続で前年同月を上回った。負債1億円以上5億円未満が11件(前年同月7件)と増加して負債総額を押し上げた。従業員数別は、5人未満が前年同月比111・1%増の19件(前年同月9件)と最多で、全体の73%を占めた。このほかでは、10人以上20人未満が3件(同5件)、20人以上50人未満も3件(同1件)、5人以上10人未満が1件(同5件)だった。1-8月の平均倒産件数は25・2件(前年同期31・5件)で、30件超だった前年同期から大きく減少した。燃料費を中心に、荷主との交渉で価格転嫁が進んだ企業が多いとみられる。燃料費高騰など「物価高」関連倒産は1-8月累計で前年同期比4割減の55件(前年同期92件)だった。一方、「後継者難」を除く「人手不足」関連倒産は8月、前年同月と同じ6件発生した。内訳は「求人難」4件(同2件)/「人件費高騰」2件(同4件)だった。1―8月累計では36件(前年同期31件)と増加している。行政や民間企業が一丸となって労働環境の改善に取り組むなか、時間外労働の法的規制や安全対策を逃れる無許可の運送業者(白トラ)の摘発が後を絶たない状況がみられる。TSRでは「ダンピングにより、正常な価格転嫁の促進を妨げる懸念も高まっている。正規の運送事業者を守り、業界全体の健全性を保つためには、荷主、運送事業者双方の法令順守意識の向上が欠かせない」(情報本部)と主張する。