CNF物流資材で実証、伊藤忠、三甲、京大
静岡県内ファミマ店舗で
伊藤忠商事、ファミリーマート、三甲、京都大学生存圏研究所は18日、「セルロース複合樹脂(セルロースナノファイバー)を使用した物流資材の小売店舗網での実装実証事業」の推進で合意したと発表した。8月から約半年間かけて静岡県内のファミリーマート約80店舗で実装し、その効果を検証する。実証事業は静岡県の「令和7年度セルロース循環経済ビジネス実証事業」に採択されたもの。セルロースナノファイバー(CNF)は、優れた強度特性やリサイクル性などを有する木材由来の素材。持続可能な素材への代替需要やバイオマス活用の観点から注目されるが、コストなどの課題から産業用途での活用がまだ限定され、企業による実用化が急務となっている。伊藤忠商事は、国内最大手のプラスチック物流資材メーカーである三甲とともに、CNFを使用した物流資材の開発に着手。物流資材の薄肉化・軽量化が期待され、コンビニエンスストアの物流課題の解決(作業負担軽減や積載効率改善)に寄与することから、ファミリーマートが実証に参加する。小売店舗でのCNF実装は世界初となる。実証の開発対象は、店舗への商品輸送で使われるバット(番重)。三甲がCNF配合のバットを製造し、ファミリーマートの静岡県内の一部物流センターと店舗間の物流で使用する。三甲が回収し、マテリアルリサイクルを行った上で、京都大学が製品性能評価、環境影響評価を行う。将来的には15%以上のバットの薄肉化・軽量化を目指すとともに、他の物流資材への展開も検討する。実装地域である静岡県は、製紙産業、CNF研究開発の集積地としても大きな意味を持つ地域。