KPI進捗で要因公表、物流施策大綱
目標達成へ方針示す
国土交通省は、現行の総合物流施策大綱のKPI(重要業績評価指標)のうち、「目標を達成するためにさらなる取り組みが必要」な指標について、その要因と今後の取り組み方針を整理した。10日に開いた第3回「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会」で示した。現行の総合物流施策大綱は今年度が最終年度。6月13日に開催した同検討会(第2回)で進捗状況をフォローアップし、40指標中、28指標が「さらなる取り組みが必要」との評価だった。構成員からは「施策が進まない理由や今後どうすべきか検討が必要」などの意見があがっていた。主な指標をみると、「自動化・機械化やデジタル化への取り組みに着手している事業者の割合」は目標100%に対し現状47%、「物流DXを実現する事業者の割合」は同70%に対し41%、自動化など「荷主と連携して取り組む事業者の割合」は同50%に対し22%。これら要因として、自動化・機械化、デジタル化の効果について「物流事業者の理解や荷主との連携の機運に課題があり、取り組みの着手が限定的だった」とする。荷主・物流事業者に関連機器・システム等導入支援を行い、その取組事例・効果を積極的に周知する。
●改正物流法施行も実効性確保に一定の時間
「トラックドライバーの年間所得額平均」は目標全産業平均(24年度527万円)に対し大型492万円、中型437万円。改正物流法等施行を進める中、「取り組みや意識改善が十分定着せず、実効性の確保には一定の時間を要する」としている。適切な価格転嫁への動きや改正物流法の規制の徹底、適正原価や委託次数の制限が含まれるトラック適正化2法の円滑な施行を着実に進める。「ドライバーの平均労働時間」は目標全産業平均(24年度2052時間)に対し大型2484時間、中型2424時間。こちらもトラック・物流Gメンや改正物流法等一定の時間を要するとし、これら施策のほか、荷待ち・荷役時間削減へのシステム導入等支援を通じた労働生産性の向上への取り組みを引き続き進める。 「トラックの積載効率」は目標50%に対し41・4%。こちらも改正物流法等一定の時間を要するとし、同法の規制の徹底とともに、配送中の積載率を可視化し、トラック事業者の共同輸配送、復荷の確保、配送網の見直し等につなげる実証事業を引き続き支援する。モーダルシフトでは、「鉄道による貨物輸送トンキロ」は目標209億に対し164億。「度重なる自然災害による大規模な輸送障害を背景に荷主の信頼が低下した」とし、代行輸送の拠点となる駅での施設整備支援や、官民一体でのBCP検討会の開催など、災害対応能力を強化する方針。 「海運による貨物輸送トンキロ」は目標389億に対し371億。こちらは上昇傾向だが荒天や機関故障など船舶の欠航が要因。官民連携でシャーシ等導入を促すとともに、フェリー積載率の調査・情報提供を行い、利用可能な輸送力を荷主企業に周知するなど各種施策を騒動員する。