トラック倒産5年ぶり減少、25年上半期

25%減146件も「人手不足」変わらず

東京商工リサーチ(TSR)によると、トラック運送業の2025年上半期(1―6月期)倒産は、件数が146件(前年同期194件/24・7%減)で、5年ぶりに前年同期を下回った。4月を除く5カ月で前年同月を下回り、150件を割った。とくに「物価高」倒産は前年同期から4割減と大幅に減少しており、燃料コストを中心に価格転嫁が進み、トラック倒産はピークアウトもうかがえる。ただ、ドライバー不足による受注減や人手確保のための人件費アップは、業績が落ち込んだトラック運送事業者に追い打ちをかけている。25年上半期トラック倒産の負債総額は150億5000万円(前年同期比37・7%減)で、4年ぶりに前年同期を下回った。負債5億円以上10億円未満が4件(前年同期7件)、負債1億円以上5億円未満が46件(同79件)と減少し、負債総額を押し下げた。1件当たり負債額平均は1億300万円だった。燃料費の高騰などによる「物価高」関連倒産は43件(前年同期比39・6%減/前年同期70件)で、約4割の減少が影響した。下請けの多い中小・零細企業でもコスト上昇分などの価格転嫁が進んでいることをうかがわせた。なお、軽油店頭価格は6月末(6月30日)時点で154・4円/リットルと前年(24年6月24日)と同額の高水準で推移している。また、2024年問題などにより加速した「人手不足」関連倒産は30件(前年同期比18・9%減/前年同期37件)と前年を下回ったものの2年連続30件台で、23年同期(20件)の1・5倍となった。「人手不足」関連倒産の内訳は、「人件費高騰」が11件(前年同期7件)、「従業員退職」が6件(同4件)と前年を上回った。一方、「求人難」は7件(同9件)、「後継者難」が6件(同17件)と減少した。ただ、上半期倒産全体に占める構成比は20・5%(同19・0%)と前年同期から上昇し、「人手不足」関連倒産は20%台に乗せた。TSRでは、「ドライバー不足による受注減や人手確保のための人件費アップは、業績が落ち込んだトラック運送事業者に追い打ちをかけている構図に変化はない」とみている。近年は、労働者がよりよい待遇を求める動きが強まり、人材の流動化が進展を受けて「運送事業者間だけでなく、産業間でも人材の獲得競争が激化」している。こうした状況の中で「ドライバーの待遇改善が進まなければ、トラック運送事業の「人手不足」倒産は今後も高水準が続く可能性が高い」(TSR情報部)と分析いている。
6月のトラック運送業の倒産は、件数が22件(前年同月比31・2%減)で、2カ月連続で前年同月を下回った。負債総額は21億2100万円(前年同月比21・0%減)で、7カ月連続で前年割れした。負債5億円以上が1件(前年同月ゼロ)発生したが、件数が大幅に減少し、負債総額を押し下げた。倒産の内訳は、「人手不足」関連倒産は5件(前年同月同数)で、「人件費高騰」が3件(前年同月2件)、「求人難」が2件(同1件)だった。燃料費の高騰などによる「物価高」関連倒産は7件(前年同月同数)と、横ばいで推移している。