委託と軽四輪代替で物流維持、JP
行政処分受け入れ
日本郵便(JP)は17日、点呼業務不備事案に関する行政処分を受け入れ、国土交通省に同日その旨を報告したと発表した。処分執行後は一般貨物自動車運送事業で使用する1t以上のトラック車両約2500台が使用できなくなるが、他の運送会社に委託することを基本に、困難な場合は確実な点呼実施を大前提に、自社保有の軽四車両(約3万2千台)で代替するなどして郵便・物流サービスの提供を維持する。今回、運送許可取消処分となる約2500台の車両は、比較的大量に荷物を差し出す一部顧客の集荷や、地方の近距離の郵便局間輸送の一部に使用している。これらは便数で月間11万8200便。業務内訳は集荷6万6200便、配達6300便、取集3400便、運送4万2300便となる。現状、委託先として佐川急便、西濃運輸、トナミ運輸や各地域で運送委託する地場の運送会社などと話を進めており、現状で約6割を他社委託(日本郵便輸送からの委託含む)、約4割を軽四車両の代替と想定する。同日会見した千田哲也社長は「聴聞通知書受領の後、調整を行い、現時点でオペレーションの確保に概ね目途がたった。今後、中元や参議院選挙で物量が増加する時期でも影響がないよう臨機応変に対応する」と述べた。一方で今回の処分は一般貨物であり、国交省では特別監査を続ける中で軽貨物の処分も考えられるが、「処分を勘案すると委託を増やさざるを得ない。その点も委託先関係者と話しを進めている」とし、ラストワンマイル配送については「処分が出た段階で対応を考える」としている。約2500台の従事者は延べ4000人超となるが、軽四車両やその他業務に配置替えし雇用を維持する。車両は5年間使用できないため売却を含め処分する考えだ。
●点呼不備根絶へ全力
日本郵便では、点呼の適正実施や飲酒運転の根絶へ、経営層のリーダーシップのもと、本社・支社・郵便局一体で意識改革、ガバナンス強化を図る。「点呼未実施の不適正事例はほぼゼロに近づいているが、まだごく一部不完全なところも把握しており、繰り返し徹底し点呼不備根絶へ全力で取り組む」(千田社長)。現在は「鍵交付⇒日常点検⇒点呼」のフローを、勤務開始後、速やかに「点呼⇒鍵交付⇒日常点検」とするフローに変更するようマニュアルを改正した。点呼のデジタル化を6月から一部導入しており、上半期中には集配業務を行う全ての郵便局に必要なシステム、機器を導入する予定。遠隔点呼と業務後自動点呼では運用方法を慎重に整理の上、段階的に拡大する。責任を明確化し、事案発覚当時(2025年2~3月)の役員(本社・支社長)に一定期間の報酬減額(グループ他社役員は自主返納)を実施。また、郵便・物流業務部担当の浅見加奈子常務執行役員は退任、指宿一郎執行役員は担当変更を併せて実施する。
●不実記載が18%
4月23日の会見で、四輪車両で調査した点呼総数約57万8000件のうち、26%が点呼を実施していない、または必要な項目の1部を実施していない点呼と発表した。今回、項目ごとの件数を公表し、「必要項目をすべて実施してない」22%、「一部の項目を実施していない」4%のほか、「点呼記録簿に事実と異なる記載を行った」(不実記載)18%、「対面点呼でなく、ドライバー自らアルコールチェック等を行っていた」8%であることを明らかにした。二輪車についても調査を実施しており7月にも公表する予定。