あらゆる連携で乗り越える

事業者団体の総会シーズンに入った。物流関係では、施行された改正物流関連2法への対応をはじめ、先ごろ成立した改正下請法、さらに事業許可更新制を主眼に今国会での成立を目指す貨物法改正案など、新制度への話題が集中する。
物流の効率化に取引適正化の推進と、いずれも物流の持続的成長を後押しするものだが、個々事業者にとってこれら新制度をいかに前向きに受け止められるか。厳しい経営環境における好機として理解を深めたい。
振り返り昨年の総会時期は、時間外労働上限規制が適用され、2024年問題に直面した。それから1年が経過し、24年問題について「物流の大きな混乱は見られない」との声が聞かれる一方で、企業経営の観点では人件費コストの上昇が収益を圧迫、3月期上場企業の決算からもその影響がうかがえる。
とりわけ中小零細企業が大半のトラック運送事業者は24年問題への対応に、燃料費の高止まりで経営体力を消耗するところは多い。
そうした企業努力が物流の大きな混乱を回避させている。ただ、この24年問題は一過性のものではなく、少子高齢化が続く中で深刻度は増す構造的な問題だ。政府の物流革新関係閣僚会議において、2030年の輸送力不足に対処するべく、物流の中長期計画が組まれ、法改正含め様ざまな施策が進められているところである。
まず4月に施行された関連2法をしっかり周知し確実な対応を図りたい。改正物流法では荷主、物流事業者に物流効率化への規制的措置が努力義務化されたほか、改正貨物法では、実運送体制の管理簿の作成や運送契約締結時の書面交付の義務付けなど、トラック運送事業者への新たな規制的措置がある。改正物流法は来年4月には特定荷主に対して物流効率化が義務付けられる。今まで以上に荷主と踏み込んだ連携を促したい。
成立した改正下請法では、「物品の運送の委託」が新たな規制対象となった。こちらは来年1月1日施行へ作業が進められる。サプライチェーン全体へ価格転嫁を反映させるにも、発荷主と元請との間の上流の取引が確実に機能する必要がある。コスト上昇分の転嫁はもとより、物流の価値を共有し適正運賃・料金を収受したい。
物流の構造的問題へ個々事業者の取り組みでは限界がある。法改正による新たな枠組みにおいて、あらゆる事業者間の連携により難局を乗り越えたい。