仕入れ単価DIが過去最高

TDB3月景気動向調査

燃料価格高騰の影響が長期化している。帝国データバンク(TDB)が発表した3月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の仕入単価DIは75・0となり、2002年5月の統計開始以来最高水準となった。一方で販売単価DIは横ばい傾向が続いており、取引先との価格転嫁交渉も進まず収益環境は厳しさを増している。運輸・倉庫業界の景気DIは前月比0・1ポイント減の35・5と3カ月連続で悪化した。全業界では0・5ポイント増の40・5と3カ月ぶりに改善したが、ウクライナ情勢、新型コロナウイルスの影響で原材料価格の高騰がより深刻化し、全体の仕入単価DIも過去最高を記録した。今後の国内景気は人出の増加などで緩やかに上向くと見込むが、燃料・原材料価格高騰の先行きは不透明であり下振れリスクを抱える。運輸・倉庫業界の3月の仕入単価DIは前月より2・9ポイント増の75・0となり、過去最高だった2008年6月(74・8)を超えた。販売単価DIは0・1ポイント減の51・8。表の通り仕入れが上昇する一方、販売単価は判断の良い・悪いの分かれ目となる「50」前後でとどまり、全体の景気DIを下げている格好だ。全業界の仕入れ単価DIは71・6で、10 業界中8業界が過去最高となったが、販売単価DI(全体56・9)も5業界が過去最高水準まで上昇しており、運輸・倉庫業界の価格転嫁が進んでいない状況だ。このほか運輸・倉庫業界の雇用過不足DIは正社員59・9(前月59・7)、非正社員55・6(同55・3)と人手不足感もじわじわと高まっている。運輸・倉庫業界のうち、調査対象の約6割を占める一般貨物自動車運送の景気DIは35・8と前月比0・9ポイント悪化した。貨物関係の事業者からは、物量はまん延防止等重点措置の解除などで回復傾向も、「燃料のほか車両、タイヤ、部品資材などの値上げに対し、取引先への価格転嫁がほとんどできていない」など値上げの影響が続く。さらに「オミクロン株で海外の業務に支障をきたしている」や見通しも「燃料費の高騰、物流の2024年問題」など懸念が聞かれる。運輸・倉庫業界の景気DI見通しは、3カ月後37・5、6カ月後40・7、1年後45・4となっている。