コスト増など景気下押し

国内景気は、米中貿易摩擦や海外景気の減速などを受け、悪化している。今後は設備投資や輸出の鈍化、消費税率引き上げによる消費の落ち込みが見込まれ、不透明感が一層強まっているようだ。
全日本トラック協会が13日公表したトラック運送業界の景況感によると、2019年4-6月期の景況感の判断指標はマイナス32・6を予想している。1-3月期のマイナス18・1から14・5ポイント悪化する見込みである。
民間調査機関などは、4月の国内景気について、「大型連休などを背景としたコスト増や工事関連の停滞が響き、後退局面入りの兆しが引き続きみられる」と指摘する。
帝国データバンクの景気動向調査によると、4月の景気DIは前月比0・1ポイント減の46・8となり、5カ月連続で悪化した。
業界別では「製造」「小売」「運輸・倉庫」「不動産」の4業界が改善し、「建設」「卸売」「サービス」「農・林・水産」など6業界が悪化している。
「建設」の景気DIは前月比0・8ポイント減の52・8で2カ月ぶりに悪化した。新年度を迎えた公共工事などの発注件数が減少するなか、統一地方選挙や大型連休にともない工事関連が停滞したことが業界全体を下押しする要因となった。
「運輸・倉庫」業界の景気DIは、前月比0・1ポイント増の48・2と改善したが、1月に49・1と50を割ってから4カ月は48~49台で推移し横ばい状態だ。運賃・料金単価DIは55・9と前月水準を維持し、上昇圧力は依然として続いている。
一部では大手事業者の運賃値上げを追い風に、運賃・料金の改善は進んでいることをうかがわせる。ただ、燃料価格の高止まりや人手不足による稼働率低下の指摘が多い。
トラック運送業界は、軽油価格の上昇が経営の大きな足かせになっている。中小・零細規模の事業者にとって、利益が軽油価格のわずかな変動で簡単に吹き飛ぶ状況が続いている。さらに、ドライバーや作業員不足が深刻なうえ、人件費のコストアップが収益を圧迫している。
資源エネルギー庁によれば、軽油の小売店頭価格(全国平均/㍑)は今年1月7日時点で124・8円だったが、今月20日時点では130・7円と上昇基調だ。
中小事業者からは「ドライバーが不足し、仕事の依頼があっても受けられない」、「運賃が上昇してもコスト増から収益・景況は悪化している」などの厳しい声は少なくない。
こうした経営環境で、消費税率引き上げは、リスクが大きすぎる。