交渉改善も転嫁厳しく

価格交渉促進月間(3月)フォローアップ調査結果

中小企業庁は、価格交渉促進月間(2022年3月)フォローアップ調査の結果をまとめた。全体平均、トラック運送業とも価格交渉の協議状況は前回より改善を示すが、コスト上昇傾向が続き価格転嫁は総じて厳しい。
27業種別でトラック運送業はコスト上昇分に対する転嫁状況が最も低かった。下請中小事業者がコスト上昇分を取引価格に適切に反映されるよう、中企庁は3月と9月を「価格交渉促進月間」とし、発注側企業に価格交渉に応じるよう促し、その成果を確認するため、事後的にアンケートと下請けGメンによるフォローアップ調査を行っている。昨年9月に続き、3月の促進月間に対する調査(アンケート5月11日~6月17日、回答1万3078社)を公表した。直近6カ月間における発注側企業との価格交渉の協議と、価格転嫁できた割合(コスト全般)の全体とトラック運送業の結果は表の通り。前回調査(全16業種)とは質問項目が同一でなく一概に比較できないが、価格交渉の協議では、「応じてもらえた」とする割合は全体で4・3ポイント、トラック運送業は5・6ポイントと増加。協議を「申し込まなかった」割合は全体で6・4ポイント、トラック運送業で11・6ポイント減少した。トラック運送業は価格交渉の協議で前回より改善しているものの、全27業種で一定の採点基準によりスコアリングした結果、金融・保険に次いで低かった(前回は16業種で最も低い)。価格転嫁については、全体平均、トラックとも前回より転嫁できていない割合(0割、マイナス)は増え、転嫁率も低下傾向で、これは直近6カ月のコスト上昇要因を反映している。とくにトラック運送業は下請けの多層構造にあり他業種と比べ転嫁が進んでいない。今回はコスト要素別の転嫁状況も調査。全体平均で転嫁できていない割合は、原材料費22・2%、労務費33・8%、エネルギーコスト33・1%。とくに労務費とエネルギーコストの価格転嫁が厳しい。トラックはコスト全般のほか、3つのコストのいずれも最も低い結果となった。中企庁では調査結果を踏まえ、業種別の自主行動計画やガイドラインの拡大に取り組むとともに、状況の良くない発注側の個別企業に下請中小企業振興法に基づく「指導・助言」を実施しており、前回調査では10数社に注意喚起を行っている。今回はアンケート配布先の増加(前回4万社に対し15万社)も踏まえ、相応の対応を行う考えだが、注意喚起先の業種は公表しない。業種別ランキングに関わらず発注側個別企業の状況を踏まえて措置を講じる。