安定経営へ協業化を模索

人手不足が深刻化するトラック運送業の担い手などのリソースを複数事業者間で共有する協業化が模索される。他モードとの連携では各地で事例がみられる貨客混載や、直近ではラストマイル配送で貨物とタクシーのドライバーシェアの検討も進められる。トラックは大半を占める中小事業者が安定的に経営を継続できるような連携が求められる。
交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会・交通体系分科会物流部会合同小委員会が先ごろ開いた会合で、トラックの協業化に向けたいくつかの方向性が示された。
1つは事業協同組合制度の有効活用だ。トラック運送事業者で構成する事業協同組合は約750程度存在する。主に燃料の共同購入、高速道路料金・保険料の割引適用など、経済的便宜を得るものだ。
これを、輸配送業務の共同受注やデータ・情報の共同利用など、経営の根幹に踏み込んだ共同事業にも広げるため、活用が一定の範囲内にとどまる要因や課題など実態調査を行う方向だ。
中には求荷求車システムによる帰り荷の確保や、輸配送業務の共同受注を行う事例も見られる。各地の事例や、他産業の動向なども共有しながら、新たな連携の可能性を追求したい。
もう1つは過疎地域の物流網維持に向けた地方自治体の存在だ。会合では地方自治体が主導的な役割を果たし、複数の運送事業者を巻き込み、多様な運送手段を組み合わせた事例を紹介した。
宮崎県西米良村では、村営バスによる貨客混載運送と組み合わせて、宅配事業者から業務委託を受けた村役場の配送員(貨物軽自動車運送事業者)が各住戸へ配送するサービスを展開している。
山梨県丹波山村では、輸送エリアに応じてトラックとドローンを使い分ける配送サービスを実装するとともに、他地域の複数のドローンを遠隔で同時運航するための拠点を整備している。
地域の物流確保へ、地方自治体が関係者の合意形成に積極的に関与し、地域政策との有機的な連携を図ることが望ましいとしている。
トラックの協業化は、先端技術を活用しながら、他モードや業種・業態の垣根を越えた様ざまな連携で可能性も広がる。地域と共生する中小・小規模事業者としては、自治体との強い連携も有効だ。トラック事業者側にもこれまでにない発想の転換や、環境変化に対応した経営努力が求められる。