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日本流通新聞12月14日付紙面から

社説:労働力確保へ適正運賃を

民間調査機関の帝国データバンク(TDB)がまとめた11月の全国景気動向調査によると、企業の景況感を示す景気動向指数(景気DI/50が判断の分かれ目)は44.8で前月と同水準だった。

燃料価格の低下で企業のコスト負担は和らいだ一方、中国景気減速の影響が製造業を中心に表れてきており、景気は大企業と中小企業がともに横ばいとなるなど「国内景気は膠着状態となっている」と指摘する。

業界別でみると、「建設」「運輸・倉庫」など4業種が改善した一方、「卸売」「小売」など4業界が悪化している。

「運輸・倉庫」業界はガソリンや軽油価格が低下し、コスト負担の軽減が進んだ一般貨物トラック運送のほか、自動車輸入(フォルクスワーゲンを除く)が堅調な港湾運送などが改善の要因となった。

さらに「海上コンテナの量が増え、コンテナ船の寄港が増えた」といった海コン事業者の声もあり、物流量の増加が好材料となった。また、冷凍倉庫事業者は「消費低迷による出庫減で在庫が増え、当面は在庫高である」という。その一方で、鋼材やアルミなど素材の出荷状況が悪いという声も聞かれる。

中国景気減速の影響が表れているが、アルミや銅など国際市場で決まる商品価格は、中国などの需要低迷を受けて低下しており、輸入を通じた仕入価格は徐々に落ち着きを取り戻している。

全日本トラック協会がまとめた、トラック運送業界の景況感調査によると、今年7-9月期の景況感判断指標は、軽油価格の下落が好影響を与え、前期のマイナス34.6から同19.4へと3期ぶりに改善した。

ただ、ドライバー不足は引き続き深刻な状況にあり、軽油が下落しても営業利益の改善効果が得られない事業者も高い比率で存在している。10-12月期は、マイナス22.2と再び悪化を予測している。

労働力不足指標は、前期のプラス56.3から同73.4へと不足感が強まり、10-12月は同82.7へとさらに不足感が強まる見込みだ。

大都市の一部では「労働力不足はあるものの、逆に売り手市場であるため適正価格の新規受注が拡大しており、12月期は最高益」と予想する事業者もいるが、地域や規模によって業績格差は広がっている。

燃料価格低下などの好材料もあるが、支えきれず息切れする小規模事業者が目立っている。

今年も残すところ半月だが、労働力確保の重要性を率直に荷主、世間に訴え、適正運賃での受注を進めたい。

 

 

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