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日本流通新聞10月5日付紙面から

社説:長時間労働と高速料金

第20回全国トラック運送事業者大会が1日、金沢市で開かれ、全国から集まった約1400人が一同に会し、当面の課題を討議した。

大会では、「荷主との協働による長時間労働の縮減」、「高速道路料金の大口・多頻度割引最大50%の恒久化」、「参入基準の厳格化等規制緩和の見直し」など8項目からなる大会決議を採択した。

とくに長時間労働の縮減については、冒頭あいさつで全日本トラック協会の星野良三会長が、「手待ち時間短縮など荷主の協力を得ながら、業界の総力をあげてドライバーの長時間労働縮減に取り組む」と決意のほどを示した。

トラック運送業界の目下の最大の課題は、長時間労働の縮減、改善だろう。4年間かけて取り組む壮大なプロジェクトだが、政府を挙げて1業種の労働時間短縮を後押ししてくれるのだから、こんなありがたいことはない。千載一遇のチャンスである。折からのドライバー不足で、荷主にとっても人ごとでは済まないはずだ。

事業者大会の終了後、来賓としてあいさつした国土交通省の藤井直樹自動車局長も実施中の労働実態調査について「調査の結果を見て、監査に入ったり、事業者名を公表するようなことは一切しないので、ありのままを回答してほしい」とこのプロジェクトに真剣に取り組む考えを強調した。

高速道路料金の大口・多頻度割引最大50%の恒久化、継続も大きな課題だ。昨年度、今年度といずれも補正予算で年間約500億円が措置されてきたもので、制度が不安定なため、業界は恒久化を求めているが、道路局の来年度当初予算概算要求には盛り込まれず、事項要求にとどまっている。

このため、来年度分についても補正予算で措置する以外に方法はなさそうだ。道路局は、ETC2.0搭載車に限定して最大50%割引を適用することも念頭に置いているようだが、全ト協をはじめとするトラック関係団体が9月30日に提出した首都圏の高速料金に対するパブリックコメントでは、すべての団体がETC2.0導入への助成を要望するなど、導入に前向きな姿勢を示している。

高速道路の利用は、運転者の労働時間短縮に欠かせないものだ。長時間労働の縮減と高速料金割引の恒久化、継続。一見、無関係なこの2つの課題ではあるが、実は密接な関係にある。料金政策によりトラックを高速道路に誘導し、運転者の労務負担軽減と一般道での交通事故抑止を図るべきだ。

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