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日本流通新聞8月31日付紙面から

社説:経済対策求める声強まる

景気の判断がつきにくい状況となっている。全国中小企業団体中央会がまとめた景況調査によると、7月は全国的な猛暑によって、各種飲料やエアコンといった夏物関連商品の需要が急速に高まり、小売業を中心に大きく売上を伸ばした。

一方で、高温障害による青果価格の高騰や消費者の外出控えも例年以上に顕著で、各業界で明暗が大きく分かれた。猛暑で野菜が高騰し、例年にない高値だが、暑さで需要が低迷しており、青果小売は販売に苦戦している。

ただ、中小企業全体では、景況、売上高、収益状況の主要指標は、前月より2ポイント超も上昇し、改善している。トラック運送事業も主要3指標は全体平均を上回る上昇だ。

夏物関連商品を運ぶトラック運送事業者は、需要増で売上高を押し上げた。また、燃料費の値下がり傾向は経営上でプラスになっている。

ただ、依然としてドライバー不足など、トラック運送事業を取り巻く環境の厳しさは変わらない。

19日、全日本トラック協会は自民党トラック輸送振興議員連盟に、高速道路料金の大口・多頻度割引最大50%の恒久化、長時間労働抑制のための諸対策に係る補助制度の充実などを要望した。

全ト協は、高速料金割引の恒久化を「輸送時間の短縮および定時制の確保」「ドライバーの労務負担の軽減」「交通事故削減」「地方創生」などの観点から要望した。現在16%にとどまっている日本の高速道路分担率を欧米並みの30%にすると、事故死者数が年間600人減り、負傷者も4分の1に減るという。高速料金割引は、経済面だけでなく、安全面にも大きく寄与するものだ。

全ト協がまとめたトラック運送業界の4‐6月期景況感は、軽油価格が下落したにもかかわらず、ドライバー不足に直面するなど、足元の事業環境は厳しく、「大手は改善、中小は悪化」と2極化した。

直取引の大手事業者は運賃単価の改善効果に加え、軽油価格下落によるコスト改善効果で好業績となった。一方、下請けとなる中小は運賃単価が改善せず、軽油下落の恩恵も小さい。

原油価格は下落を続けており、軽油価格のさらなる値下がりも期待されるが、中小下請けが恩恵を受けられるだろうか。このところの中国経済の需要鈍化の影響が国内中小企業にも波及しはじめている。

各指標は好転をみせているが、実感のない事業者も少なくないだろう。株価も世界的に変調を来しており、政府に経済対策を求める声が強まっている。

 

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