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日本流通新聞3月2日付紙面から

社説:適正取引で労働時間短縮も

 トラック運送取引の書面化への普及・定着を加速させる取り組みが着実に成果をあげている。
 国土交通省がまとめた書面化実態調査によると、72%のトラック運送事業者が書面化について「必要」と答え、その効果として「収受する運賃が明確になった」(56%)、「附帯業務が明確になった」(41%)、「無駄な手待ち時間が解消された」(10%)ことなどをあげている。
 書面化によって改善が見られた輸送品目(業種)は、(1)建設資材・住宅関連(2)自動車、輸送用機器、家電その他工業品(3)機械工業品・機械部品----の順だった。
 一方で、課題も明らかになった。書面化推進ガイドラインなど適正取引や安全運行の確保への取り組みについては、全体では55%の事業者が「理解している」と答えたが、20台以下の事業者では半数以下の47%で、小規模事業者への浸透が課題であることがわかった。また、「継続的な貸切輸送」に比べ、「スポット輸送」では全ての品目で書面化の実施率が低かった。
 書面化が困難な理由としては、「運送内容が不明確」、「運送直前の決定・変更」、「荷主の理解・協力不足」、「着荷主側での状況把握不足」などをあげている。
 なかでも「運送内容が不明確」や「運送直前の決定・変更」については、「適正な取引の確保」と「輸送の安全」を阻害する行為などにつながりかねない内容だ。
 このため国交省では、これら「適正な取引」と「輸送の安全」を阻害する行為を改善するための手段が「書面化」であることを意識する必要があるとしている。
 トラック運送事業者が求める取り組みでは、書面化をさらに推進するために必要な点として「国交省だけでなく、関係各省庁も共に動いてほしい」、「定期的なガイドラインセミナーの開催」、「荷主に対する理解促進。荷主へのアピールを積極的に行う」、「事業者の自覚とレベルアップ」、「他業界への説明・周知」などが指摘された。
 書面化のメリットとしてあげられた「収受する運賃が明確になった」や「附帯業務内容が明確になった」は、書面化を機に荷主への協力要請などを働きかけた結果だろう。
 国交省は来年度、発荷主、着荷主、トラック事業者の3者によるモデル事業を行い、書面化、手待ち時間の改善などに向けた課題・改善点を検証するという。
 適正取引に向けた関係者の取り組みは、来年度からの業界の大きなテーマである労働時間短縮にもつながりそうだ。

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