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日本流通新聞8月11日付紙面から

社説:景況悪化要因は燃料高騰だ

 上場している物流企業の2014年4-6月期は、駆け込み需要の反動減があったものの、売上高は増収基調だ。一方、利益面は燃料や人手不足などに伴う外注費の高騰などの影響を受け、まだら模様となっている。
 一般論で恐縮だが、4-6月期の景況感は悪化していた。貨物輸送は長時間労働に対する罰則規定が強化されたこともあって、トラックから短・長距離海運や鉄道にシフトしている。長引く燃料費高騰の運賃への転嫁が困難な中に、高速道路のETC割引率縮小・廃止による輸送費上昇のほか、人手不足による人件費上昇も景況感が悪化する要因だった。
 ただ、上場物流企業は6月時点で、4-9月期(第2四半期累計)や通期業績予想に対する進ちょく状況については「おおむね計画通り」と、従来予想を据え置く企業が多い。
 民間調査機関「帝国データバンク」(TDB)が5日に発表した7月の景気動向調査によると、企業の景況感を示す景気動向指数(景気DI)は、46.9と前月比0.4ポイント上昇した。50が「良い」「悪い」の判断の分かれ目で、改善は2カ月連続となった。
 10業界のうち「建設」「サービス」「金融」など7業界が改善している。「建設」は公共インフラや省エネ関連投資が増加し、前月比0.8ポイント増の53.5と2カ月連続で改善した。ただし、「ゼネコンでも職人不足のため発注を控えている」というケースもあるなど、依然として厳しい人材不足の状況が続いている。
 一方、悪化は「不動産」「小売」「運輸・倉庫」の3業界。7月の「運輸・倉庫」景気DIは前月比0.4ポイント減の44.9と、4カ月連続で悪化した。駆け込み需要の反動減など消費税ショックの影響は底を打ったとみられるが、景気上昇の勢いは緩慢で回復力は弱いといわざるを得ない。
 なかでも燃料費高騰、ドライバー不足などのコストアップが収益を圧迫し、改善につながらないようだ。「深刻な人手不足と燃料高騰で、受注はすれども利益はあがらない」といわれる状況の中で、「燃料高騰が続いているものの、運賃の値上げ交渉で徐々にではあるが、進ちょくが認められる」と、運賃交渉に積極的に取り組む事業者も少なくない。
 事業者の中には、人手不足や燃料などの経費高が世間一般に浸透すれば、「徐々に(運賃・料金)単価が上がってくるのではないか」という期待もあるが、業界が一丸となった燃料や人手不足などコストアップ吸収への取り組みが必要だ。現状のままでは、人手不足や車両不足に拍車がかかり「運べない貨物が増加する」事態も想定される。

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