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日本流通新聞7月7日付紙面から

社説:悲惨な事故 なくす努力を

 中型免許制度の見直しが大詰めを迎えている。
 警察庁が発表した6月10日の第4回有識者検討会議事概要によると、18歳で車両総重量3.5t〜7.5tを運転可能なC案、つまり小型トラック免許創設をベースに審議が続けられているが、委員からはなお安全対策の強化を求める意見が相次いでいることがわかる。
 新たな免許区分案では、トラックを運転するためには、トラックによる教習を受けて専用の免許を取得することになる。このうち、3.5t〜5tまでの部分については規制強化となるが、現在の中型免許の一部である5t〜7.5tまでの部分については取得年齢が20歳から18歳に引き下げられることになり、規制が緩和される。
 このため、有識者検討会の提言記述案では、貨物自動車運送事業法に基づく運転者に対する指導・監督指針を充実させ、初任運転者に対する教育を強化する方針を盛り込んでいるが、委員からは「安全性が確保されると言うには、総合的な安全対策がきちんとした水準で実施されることが大前提だ」などと実効性の確保を求める意見が多く出されている。
 この日の会議のまとめでは「C案の免許制度改正をベースとしつつ、安全対策を積み上げることで、貨物自動車の総合的な安全対策の向上を図る方向性については、共通して認識頂けているものと考える」との発言もあった。
 6月10日の会合では、全国高等学校長協会、全日本トラック協会に対するヒアリングも行われた。
 このうち校長協会は、事故遺族から「就職の機会確保ばかりに目が向かって、本来学校としてあるべき姿ではないのでは」と厳しい指摘を受けていることに対し、「高校教育では、生命の大切さとともに、市民生活、家庭生活を築くなかで、職業生活があることを学習させている。安易に中型免許を取得させるということではなく、18歳で貨物自動車の新しい免許区分を自ら選んで取得できるようになることを期待している」と述べ、18歳での資格取得が必要である点を改めて強調した。
 校長協会はさらに、「トラックは単なる物流だけでなく、ひとり暮らしの高齢者の安否確認等まで、運転者が担う社会が進展している。生徒には改めて、物流という仕事の重要性を安全・安心の観点を含めて考えさせていきたい」とトラックドライバーや物流の意義を高く評価した。
 校長協会からの評価や期待に応えるためにも、トラック運送業界として、悲惨な交通事故をなくすための努力を続けなければならない。

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