日本流通新聞  
スペーサー


最新ニュース

日本流通新聞2月10日付紙面から

社説:需要の波を乗り切れ

 トラック運送業界の景況感が大幅に改善している。
 全日本トラック協会がまとめた、昨年10−12月期の景況感調査結果によると、判断指標は前期比26ポイント上昇のプラス12となり、調査開始以来初めてプラスとなった。
 指標は、景況が「好転」したと回答した事業者の割合から「悪化」したと答えた割合を差し引きした数値で、プラスになるということは、「好転」と答えた事業者の方が多かったということだ。10-12月期は「好転」が前期の21%から34%に増え、「悪化」が同じく32%から22%に減ったため、判断指標もマイナス14からプラス12へと改善した。
 ただ、一方で心配なのが人手不足だ。人手の過不足感を示す判断指標は、昨年7-9月期にすでにプラス54となり、これまでになく不足感が強まっていたが、10−12月期はこれが同66となり、今年1-3月にはさらに同77へと強まる見込みだ。
 輸送需要が高まるなかで、人手不足が強まれば、当然需給が逼迫し、ものを運ぶための供給輸送力が足りなくなってくる。業界内でも「車はあるが、人がいない」という声が聞かれるようになった。
 需要に対し供給が追いつかなければ、価格が上昇する。全ト協がまとめた、求荷求車情報ネットワーク「WebKIT」を利用した1月分の成約運賃指数は114となり、昨年末に引き続き高水準を維持した。前年同月と比べると6.5%のアップで、12月(前年同月比6.3%アップ)の高水準が越年した格好だ。
 背景として、緩やかな景気の回復に加え、消費税引き上げ前の駆け込み需要が指摘されている。
 日通総研が荷主企業を対象に実施した、消費税増税が出荷量などに及ぼす影響調査の結果によれば、10−12月期に出荷量が増えると答えた荷主は約2割だったが、これが今年1-3月期になると4割に増えている。10-12月は生産財や投資財が中心だったが、1-3月になると消費財も加わってくる。
 問題は4月以降の反動減だ。日通総研の調査結果では、4月以降の出荷量が減少見込みの荷主は6.6%と少ないが、「出荷量が減少する可能性は否定できない」とする回答を合わせると半数を超える荷主が減少を懸念している。また、「不明」との回答も2割の荷主から寄せられており、消費増税の影響の大きさは不透明なのが実状だ。
 荷主との信頼関係を確固たるものとし、燃料コストなど原価上昇分についても理解を求めつつ、需要の変化が大きい今年上半期を乗り切ることが肝要だ。

原価計算システムのご案内はこちら

原価計算システムサポートはこちら

 

 
takeda