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日本流通新聞11月25日付紙面から

社説:車両安全技術の進歩に期待

 国土交通省が、2009年に策定した事業用自動車総合安全プラン2009の見直しに着手した。
 プランの見直しに向け同省は、「どんなに気をつけていても、事故は起こり得る」として、社内でのリスクマネジメントの徹底を求めた。
 自動車局では「どんな優良ドライバーでも今すぐに事故が起きるかもしれないという危機意識を持ち、大きな事故につながる小さなリスクを早い段階で摘み取る取り組みが重要だ」としている。
 また、運転者のプロ意識と地位の向上、関係者が一体となった努力も見直しの視点としてあげた。実際にハンドルを握るドライバーへの教育・指導などを通じてプロ意識を向上させ、ドライバー自らが自発的なリスク管理を行って、それを会社や家庭、荷主などの関係者がサポートする体制を築くよう促したものだ。
 さらに、具体的な事故防止策などの現場への浸透も基本的考え方の1つにあげた。その際には、地域や業態の実態を踏まえ、「きめ細かい事故分析と地域ごとの現場への浸透を考える必要がある」という。
 自動車局は「死亡事故、重大事故の防止に力点を置いて取り組みたい」としており、高速ツアーバス事故を受けて対策を強化した「バスの経験」をトラックやタクシーにも展開していく考えも示している。
 一方で、車両安全技術の進歩にも期待が集まっている。
 国土交通省は、車両安全対策により、2020年までに死者数を1000人削減する目標を立てて安全基準の強化や先進安全自動車(ASV)開発・普及を進めている。
 レーダーで前方の車両を検知し、追突が避けられないと判断した場合には自動でブレーキをかける衝突被害軽減ブレーキは、すでに普及期に入りつつあり、来年からはトラックなどへの装着義務付けが始まる。
 さらに、来年度は居眠りや発作などドライバーの異常をカメラで検知し、自動的に路肩に止めるような「ドライバー異常時対応システム」の開発を進める予定だ。
 折しも東京モーターショーが開催中だ。日野自動車は、走行中車両への追突回避も支援する機能を加えた衝突被害軽減ブレーキや、偏過重コンテナを搭載した場合のトラクタの傾きを計測し、ドライバーに注意を促すバランスモニターなどを実用化し、来春から大型トラックなどに搭載すると発表した。
 レーダーやセンサーを駆使した自動車の安全技術は近年、飛躍的に進化している。死亡事故の削減に寄与する、先進的な安全技術の実用化に大いに期待をしたい。

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