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日本流通新聞10月21日付紙面から

社説:不可避の運管試験厳格化

 トラック、バス、タクシーの自動車運送事業者に選任が義務付けられている、運行管理者の国家試験合格率が急激に低下している。
 それまで40%前後で推移していた貨物運送の合格率は、今年3月の試験で24.3%に落ち込み、8月の試験では19.3%まで低下して過去最低を記録した。
 運行管理者試験は、国土交通省が2009年にまとめた「事業用自動車総合安全プラン2009」のなかで出題等の見直しを求められ、運行管理者試験センターが2010年度から、より実務上の知識および能力を問うための見直しを行った。
 実務面について出題内容を充実させたほか、出題の分野ごとに正解が1問以上なければならないという「責任点」を2点に引き上げ、実務上の知識および能力の分野では2問以上の正解がなければ合格できないようにした。
 これにより、2010年8月の貨物の合格率は40.4%となり、2009年度平均(50.6%)より低下が見られた。翌2011年3月の試験では、33.6%とさらに合格率が低下したが、2011年8月には46.8%、2012年3月には47.8%へと回復していた。
 試験センターはさらに、今年3月の試験から出題方法を変更し、従来「四者択一」だった出題方法を一部の問題については「四者択二」へと変更した。従来の出題方法は、4つの選択肢のなかから1つを選ぶ方法だったが、3月の試験では4つのなかから正解2つを選ぶ問題が増え、正答するためにはより多くの知識が必要となった。
 全30問中、3分の1に当たる10問近くを「四者択二」としたところ、正答率が大きく下がり、合格率も急激に低下した。このため試験センターでは、「四者択二」問題を半減し、8月の試験を実施したが、合格率はさらに低下し、過去最低となってしまった。
 運行管理者試験は全30問で、1問1点を配点。30点満点中60%以上の18点以上であることが合格基準だ。
 試験センターは「総合得点が10点以下と、明らかに準備不足と思われる受験者が大幅に増加している」と明かす。
 運行管理者試験は難しくなった。「今までが簡単すぎた」といった意見も散見されるが、しっかりした準備をしなければ、一夜漬けやまぐれで取得できる資格ではなくなった。
 事業や業界の社会的地位向上のためには、運行管理者の資質を向上させる必要があり、より安全意識の高い運行管理者を世に排出する必要がある。その意味で、試験の厳格化は避けて通れないことかも知れない。

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