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日本流通新聞9月2日付紙面から

社説:転嫁へ業界自ら取組みを

 欧米諸国によるシリアへの軍事介入観測で、原油価格が高騰している。8月28日のニューヨークWTI価格は、1バレル112ドルを超え、約2年4カ月ぶりの高値をつけた。29日のドバイ原油も112ドルを突破した。
 一方、国内軽油価格は足元の店頭価格が1リットル当たり138円程度で高止まりしており、9月も強含む可能性がある。ガソリンなどの店頭価格は通常、需要期である8月のお盆休みが過ぎると落ち着いてくるのが一般的だが、今年は必ずしもそうなっていないようだ。
 JX日鉱日石エネルギーの軽油卸価格は、7月平均の1リットル当たり3.4円値上げに続き、8月も2.3円引き上げられ、9月もさらに上昇する見込みとなっている。
 こうした情勢を受けて、全日本トラック協会が燃料サーチャージ導入に向けた取り組みを強化するという。9月13日に緊急の正副会長会議を開き、対策を検討する予定だ。
 燃料サーチャージの届出件数は、今年7月末で4967件となっており、この数年あまり増えていない。届出事業者の保有車両ベースで見ると、全車両数の40%をカバーする計算だが、事業者数ベースで見るとわずか8%にとどまっている。
 全ト協では、この状態をてこ入れし、荷主への転嫁が進むような対策に取り組む予定だ。
 荷主への働きかけも強める方針だ。すでに国土交通省と経済産業省のクレジットが入った荷主向けチラシを作成しており、荷主への要請活動を強める。
 国土交通省とも協力して、秋から開催する書面化推進のためのセミナーに荷主にも参加を求め、併せて燃料サーチャージ導入についても理解を求める考えだ。
 トラック業界は今年5月に開いた全国総決起大会で、燃料費を補填する補助金の創設や軽油引取税緊急減税の実現などを決議したが、こうした救済策を要望する前に、改めて燃料サーチャージ導入に向けた業界自らの取り組みを強化するものだ。
 自民党は参院選公約と併せて発表した総合政策集のなかで、「燃料高騰による大幅なコスト増を直接被っている分野に与える影響を注視し、時機を逸することなく具体的な措置を講じていく」と記述した。公明党に新たに設置された原油高騰問題対策本部の8月20日の会議で全ト協は、業界救済策を強く要望した。
 補助金などの救済策は、補正予算が必要となるため、臨時国会が始まらないと具体化しづらい。その前に、業界自らが荷主への転嫁に積極的に取り組むことが重要だ。

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