社説:燃料高騰 補助金創設、今でしょう
トラック運送業界が23日、「政府が打ち出した急激な円安の影響による軽油価格の高騰」で、多くの事業者が事業存廃の危機に直面しているため、経営危機突破の総決起大会を開き、窮状を訴えた。昨年5月の「燃料価格高騰による経営危機突破全国統一行動」に続き2年連続だ。
アベノミクスの大胆な金融政策によって急激な円安がもたらされた結果、軽油価格の高止まりで燃料価格を運賃に転嫁できず苦しい経営を強いられている。
総決起大会の意見開陳で事業者は「公共的な性格の強いトラック運送事業が苦境にある中で、それを救うべきは国の責任」との立場から「軽油引取税の旧暫定税率『17円10銭』の一時凍結やトリガー条項の復活、国が強力なリーダシップを発揮して運賃に転嫁できる制度設計の実現、元売り各社の燃料価格監視、軽油引取税の緊急減税」など求めた。
来賓として出席した政府の鶴保庸介国土交通副大臣は「国内の物流ライフラインを担う99%の中小零細事業者のトラック運送業界にとって燃料高騰は、自助努力では超えられない。これまで以上に『燃料サーチャージ導入』促進に努力したい」と、業界の窮状に理解を示した。
経済産業省の菅原一秀副大臣もサーチャージ制度の導入が「航空、船舶で浸透しているが、トラック業界では1割にとどまっている。荷主側が高騰分を負担するよう、政府(経産省)として働きかけていきたい」と述べた。
与党・自民党トラック議連の細田博之会長が「燃料価格の高止まりに喘ぐトラック運送業界を支援する財政措置を急いている」と、高騰した燃料費を補填する補助金の創設に触れて注目された。また、西村明宏国土交通部会長は「業界の経営環境を整備することが重要だ。とくに、ともすれば優越的な地位の荷主との間で適正取引を推進することは、業界にとって極めて重要だ」と、間接的に独禁法との関係に触れた。
軽油ローリー価格は1リットルあたり2009年3月と比べ約40円上昇し、今年3月は111円だ。全ト協の試算によれば、トラック運送業界の燃料負担は年間約6800億円もの大幅な増加だ。
大会決議では「軽油価格の異常な高騰は、経営収支や労働条件の一層の悪化を招き、今や多くの事業者がまさに廃業の危機に直面し、悲痛な声をあげている」と指摘した。
今、事業者・業界は「国が実現可能なあらゆる緊急対策を早急に実施」するよう求めている。
では、緊急対策を「いつやるか、今でしょう」。