社説:大手の提携・再編が本格化
きょう4月1日は、多くの企業にとって“正月”とも言える、新年度がスタートする日だ。
日本銀行が1日に発表する企業短期経済観測調査(日銀短観、3月調査)は、海外経済の好転や円安・株高が進行したことを背景に、大企業・製造業の景況感が改善する見通しだという。
こうした中で、物流業界の大きな流れとして、大手物流企業の「海外展開の加速」と「M&Aをはじめとした提携や再編・系列化」の動きが本格化している。
最大手の日本通運は3月27日、NECと海外物流サービス事業の強化に向けた戦略的業務提携を行うとともに、翌28日にはパナソニックが物流子会社「パナソニックロジスティクス」株式一部を日通に売却することで基本合意したと発表した。
NECとは、10月に物流子会社「NECロジスティクス」(NECL)の株式を取得し、「日通NECロジスティクス」に社名を変更する予定だ。パナソニックロジスティクスの株式取得については、5月末までに最終契約書の締結に向けて協議を進めることにしている。
また、佐川急便の持ち株会社「SGホールディングス」は3月27日、M&Aを柱として2015年度には売上高1兆1000億円を目指す新中期計画「サードステージプラン」(2013〜1015年度)を発表した。国内外でM&Aを駆使した事業領域の拡充を掲げて、それぞれの分野で業界3位以内の地位確立を目指す。3年間の累積投資額は2600億円で、うち1000億円はM&Aに充てる。
国内市場は、少子高齢化など人口減に伴って、縮小が避けられない状況だ。依然として国内メーカーの海外移転は止まらず、国内の物流市場は頭打ちになっている。大手物流企業の東南アジアはじめとする海外展開は、自前の拠点(物流センター等)を開設し、自前で運行するなど「国内から海外へ逃げた分の穴埋め」として位置づけている。
また、国内市場の縮小に伴った、大手物流企業の「提携や再編・系列化」も目立っている。1月末に基本合意したハマキョウレックスとSGホールディングスの国内3PL事業の統合は中堅・大手のグループ化で、これから具体化する。
大手同士では、セイノーホールディングスと福山通運が3月12日、戦略的業務提携を結んだ。両社で1011拠点を数える物流施設を活用し、共同一括配送など協業による効率化をはじめ全体最適化を目指しており、新年度以降に動き出す。
大手企業には役割として、業界の底上げにも取り組んでもらいたい。