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日本流通新聞3月25付紙面から

社説:物流の労働環境改善に協力を

 物流の労働力不足が顕在化している。
 物流連が行ったアンケート調査結果によると、トラック運送事業者の6割が「年間を通じて不足している」と答えている。全ト協が実施した景況感調査では、リーマンショック後の2009年4-6月期にマイナス48と過剰感が強かった人手の過不足判断指標が、2012年10-12月期はプラス27と不足感が強まっている。
 過当競争を背景に、トラックドライバーの労働環境は過酷さを増している。長時間にわたる手待ち時間、運転時間基準を遵守できないタイトな運行、契約外の附帯作業など、きつい労働の割には賃金が低い。物流連の調査では、物流業の労働力問題として低賃金、長労働時間、作業のきつさなどがあげられている。
 JR貨物と福山通運が福通専用列車である「福山レールエクスプレス号」を25日から運行するが、その背景には長距離のドライバー不足があるという。
 福山通運の小丸社長によれば、東京〜大阪間のトラック輸送は、月曜日に東京を出発し、水曜日に帰ってくる。若いドライバーを中心に「自宅に帰って休みたい」という意向が強く、労働環境を改善しないとドライバーの確保が困難になりつつあるのだという。
 「福通列車」の輸送量は、東京〜大阪間の輸送量の約2割に当たるが、小丸社長は「将来的には3〜4割を依存せざるを得ない」と今後も鉄道利用を拡大していく意向を示している。JR貨物の田村社長も、専用列車方式の拡大に意欲を示し、トラックの労働力不足による鉄道輸送需要についても「鉄道が受けていく仕組みが必要」と話している。
 川崎陸送でも、大阪〜埼玉間のトラック輸送について、荷主の理解を得て中間点である長野に中継拠点を設け、大阪と埼玉の双方からトレーラーを仕立てて中継拠点で被牽引車両を交換し、それぞれが出発拠点に戻ることで1運行当たりのドライバーの拘束時間を短縮した。
 同社の樋口社長は「ドライバーは家に帰って寝ることができるようになった。労働環境改善は荷主の協力がないと難しいが、やっていかないと運ぶ人がいなくなってしまう」と危機感を示す。
 国土交通省は、次期物流大綱策定に向けた有識者委員会の提言骨子案に「国内外でムダ、ムラ、ムリのない全体最適な物流の実現」を今後の物流施策が目指すべき目標として掲げ、荷主、物流事業者、行政が連携して取り組むべきだと指摘した。
 関係者が協力して物流の労働環境改善に取り組む時が来ている。

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