社説:新政権の経済政策に期待
自民党が与党としての活動を本格化させている。東京・永田町の党本部は連日、千客万来で、3年半前の活気を取り戻している。
民主党政権で途中まで進められた税制改正作業は、自民党税制調査会に舞台を移し、7日から作業が本格化した。
政権交代後初めての党税調総会が開かれた7日、党本部7階の会議室は議員で満席となり、それを取材しようとする報道陣でごった返した。
総会で高市早苗政調会長は、満席となった会議室を見渡して「懐かしい光景で胸が詰まりそうだ」と感慨深げにあいさつした。
また、麻生太郎財務相は「これまでの3年間、この国が、いかがなものかという方向に走った事実を、我々があるべき姿に正すために税調は大事な場だ」と述べ、自民党税調復活を印象づけた。
税調は、24日に与党税制改正大綱というタイトなスケジュールで連日会議を開き、精力的に作業を進めている。
10日には、政権与党復帰後初のトラック輸送振興議員連盟、自動車議員連盟と相次いで議連を開き、関係業界の要望を聴取した。
とくにトラック議連では、環境性能が高い大型車の購入補助が2012年度補正予算に盛り込まれることが明らかにされ、新年最初の朗報となった。
トラック業界の要望は軽油高騰対策だが、2008年の高騰時のように政府全体で燃料高騰対策を実施する機運がないため、あくまでも環境対策として、一定の燃費・排ガス性能を満たす大型ディーゼルトラックを対象に、購入補助制度を創設しようというものだ。
ただ、出席した議員からは「円高になっても軽油は下がらない。円安になると上がるのでは、と心配する声を聞く」との指摘もあり、片山さつき議連事務局次長(総務政務官)は「補正予算を第一段階としてさらに検討したい」と本格的な燃料高騰対策の検討に含みを残した。
政府は11日、日本経済再生に向けた緊急経済対策を閣議決定した。予算規模10.3兆円という本格的な経済対策だ。大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を「3本の矢」として、経済再生などを実現する政策パッケージ第1弾との位置づけだ。
復興・防災対策に3.8兆円、成長による富の創出に3.1兆円、暮らしの安心・地域活性化に3.1兆円を補正予算に計上。実質GDP押し上げ効果は2%程度、60万人程度の雇用創出効果を見込む。新政権の経済政策にまずは期待をしたい。