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日本流通新聞7月16日付紙面から

社説:倒産減少も踊り場局面に

 民間調査会社がまとめた2012年上半期(1〜6月期)のトラック実運送事業者の倒産件数(負債額1千万円以上、法的整理のみ)は、前年同期比9.5%減の133件と、2年ぶりに前年同期を下回った。
 減少の要因は、6月の倒産件数が19件と前年同月の24件、前月の30件に比べ、20〜30%台で大幅に減少したことによる。ただ、四半期ベースの12年第2四半期(4〜6月期71件)は、前年同期(11年4〜6月期65件)に比べ9.5%増)と増加している。
 4〜6月期のトラック運送業界「景況感」は、一部の事業者で「自動車生産の増加から、物量が増加しており倉庫空きスペースが見つけにくい状況」や「(震災)復旧事業の増加でセメント需要が好調で売上高は順調」という声が聞かれた。
 が、しかし全体な傾向は「荷物量は昨年に比べ回復しているが、4月以降その勢いも徐々に減少し、復興需要や補助金需要も息切れ」し始めている、踊り場局面だ。
 民間調査会社の景気動向調査によると、運輸・倉庫業の6月「景気動向指数」(景気DI、50が判断の分かれ目)は前月比1.4ポイント減の38.1と4カ月連続で悪化した。
 復興需要やエコカー補助金などの政策支援によって、一部地域や業種では底上げが続いた。しかし、全体として内需は停滞しており、不安定な欧米景気や円高などで企業の収益も厳しさが続き、生産活動は低下傾向となった。
 さらに、政策で支えられてきた自動車関連業種も勢いに陰りがみられる。現状は、国内景気が自律回復に至っておらず、財政出動の効果も息切れし始め、踊り場局面を余儀なくされている。
 今後の見通しは、国内景気が内需に全体を押し上げるほどの回復力はなく、踊り場局面が長引く可能性を指摘する民間調査会社もある。
 夏の電力不足が企業の生産や販売活動を抑制し、消費者の購買行動にも悪影響を与える懸念に加え、エコカー補助金終了後の反動減に対する懸念も増しつつある。
 運輸・倉庫業では、「輸送量に大きな回復はないが、原油価格の安定と幾分の下落が見込まれる」(トラック運送)という“横ばい”は少数だ。
 多くは「自動車の生産台数がお盆明けから落ちるとの予想があり、自動車に関連する輸送(部品や原料など)の減少を懸念」(同)や「大手の拠点集約による顧客減は手の打ちようがない」(同)と、悪化予想だ。
 政府には復興需要の波及など、内需を押し上げや消費マインドを改善する政策支援を求めたい。

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