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日本流通新聞6月11日付紙面から

社説:トリガーはせめてもの施しだ

 民主党トラック議員連盟が、燃料高騰時にガソリン、軽油を減税する措置である「トリガー条項」の凍結解除に向け動き出した。
 国内燃料価格はこのところ値下がり傾向にあるが、劇的な下落は期待できず、いつ再び上昇局面に転じるかわからない。
 トラック議連の燃料対策ワーキングチーム(WT)座長に就いた川内博史議員は「経営の先行きに対するしっかりとした見通しを立てられるようにする必要がある」として、議員立法による凍結解除に意欲を示した。川内氏は、2008年の燃料高騰時に野党民主党の「ガソリン値下げ隊長」として奔走し、暫定税率を失効に追い込んだ経験も持つ。
 凍結解除のための法案は、震災特例法第44条と地方税法附則第53条の規定を削除する内容。川内氏は「この案を党の案、政府の案とし、国会で成立させ国民との約束を果たしたい」と決意を示した。
 そもそもトリガー条項は、「暫定税率廃止」をマニフェストに掲げた民主党が政権交代を果たした2009年末、与党として初の税制改正作業に当たり、約束であった暫定税率の廃止を果たせなかったことの、いわば代償措置として創設された制度だ。
 トリガー条項は、ガソリン価格が3カ月連続で11リットル当たり160円を超えた場合に暫定税率分である1リットル当たり25.1円の課税を停止し、3カ月連続して同130円を下回れば元の税率に戻す仕組みだ。軽油については、ガソリンの課税停止措置に連動して同17.1円分が課税停止・復活する仕組みだ。
 暫定税率廃止を掲げて選挙で大勝した民主党として、せめて燃料の高騰時には減税しようというわけだ。
 ところが、昨年の東日本大震災により、「復興財源を確保しなければならない時に、年間1.8兆円の減収となり得る制度をどう考えるのか」(財務省)といった指摘がされ、凍結されるに至った。
 当時の民主党内では、「被災地のガソリンが200円になってもよいのか」、「血も涙もない」などと異論が相次いで意見集約が難航した。
 暫定税率は「当分の間税率」と名前を変え、期限さえもなくなって恒久化されそうな雰囲気さえ漂う。一方で、農業用や船舶用の軽油は課税自体の免除措置が温存され、一般財源であるのに自動車ユーザーだけが重い税負担を強いられている。何とも不条理だ。
 せめて燃料の高騰時には減税をということで創設されたトリガー条項は、重い税負担を受け入れている自動車ユーザーに対するせめてもの施しだ。

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