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日本流通新聞5月21日付紙面から

社説:燃料高騰 理解求める活動継続を

 トラック運送業界の労使など約2万人が15日、日本列島各地で「燃料高騰でもう限界! トラック輸送の危機は暮らしの危機」と訴えた「燃料価格高騰による経営危機突破全国統一行動」は、大きな盛り上がりをみせ、総決起の場となった。
 東京で行われた関東ブロック総決起大会は、トラック、バス、タクシーの公共輸送サービス機関が共催。旅客・貨物の立場を超え、政府・与党に「トリガー条項の凍結解除、燃料サーチャージをはじめとする新しい運賃制度の導入、軽油引取税・ガソリン税の緊急減税」などを求めた。
 来賓として出席した政府の室井邦彦国土交通大臣政務官は「トラック、バス、タクシーは日本経済を底支えする大動脈だ。皆さんの苦労と貢献に応えて、精一杯迅速に行動したい」と、業界の窮状に理解を示した。
 与党の東祥三民主党トラック議連会長代行は「燃料高騰対策プロジェクトチームを立ち上げ、燃料サーチャージ制について踏み込んだ導入促進策の検討」に加え、トリガー条項について「復興財源とは切り離して考えるべきで、凍結解除に向け議連にワーキングチームを立ち上げる準備をしている」との考えを示して注目された。
 全日本トラック協会(全ト協)の試算によると、燃料高騰によるトラック運送業界の今年度のコスト増は前年度比5000億円に達する。
 ところが、全ト協がまとめた軽油価格の運賃転嫁に関するアンケート調査(5月/776事業者)によると、燃料高騰分の運賃転嫁は、「全く転嫁できない」が77.8%も占めており、「ほぼ転嫁できている」は3.4%にとどまり、「一部転嫁出来ている」が18.8%だった。「一部転嫁出来ている」と回答した事業者の内訳をみると、コストアップ分の転嫁で「1〜20%」が55.6%を占め、「80%以上転嫁できた」との回答は2.8%に過ぎない。
 さらに、燃料高騰によって「将来の事業継続に不安がある」との回答が4割(39.9%)にも上った。
 国土交通省は6月から、トラック運送事業者に対する燃料サーチャージ制の導入促進に向けた説明会を都道府県単位で開催するなど、事業者の運賃転嫁に向けて支援していく方針だ。
 国会議事堂の議員面会所前。雨脚が強まるなかで、傘も差さずに決議文を読み上げた星野全ト協会長の姿が印象的だ。業界として引き続き窮状を訴え、世の中の理解を得る活動を地道に続けていく必要がある。そして事業者は、コストアップ分の転嫁について顧客に理解を求める取り組みを続けていく必要がある。

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