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日本流通新聞4月23日付紙面から

社説:サーチャージに荷主も理解を

 軽油価格高騰を受けて、トラック、バス、タクシーの自動車運送業界が来月15日、経営危機突破全国統一行動を展開する。
 各県協会あるいはブロック協会単位で全国一斉に総決起大会や街頭アピール、関係機関への要望行動を展開し、燃料高騰による業界の窮状を世の中に訴える。
 各決起大会では、燃料高騰分の価格転嫁のための対策拡充、燃料価格高騰時に軽油引取税の課税を停止する「トリガー条項」の凍結解除、軽油引取税の緊急軽減または燃料高騰のための補助金創設、石油製品の安定供給確保と国内燃料価格監視の徹底などを大会決議で採択する予定だという。
 価格転嫁のための最大の施策が燃料サーチャージ制度の導入だ。2008年の燃料高騰時に初めて国が制度として創設したもので、軽油価格の変動に応じた価格上昇分を運賃に付加する制度だ。
 その燃料サーチャージ制について、4月1日付で国交省自動車局貨物課長に着任した加賀至氏は「サーチャージは業界のなかで標準的に皆が導入するものだというふうに持っていきたい」と述べ、「業界標準」として定着させていく考えを示した。
 トラック運送業での燃料サーチャージ制運賃の届け出は、2008年3月の制度創設後約半年で4000件を突破したが、その後燃料価格の下落とともに新たな届け出が少なくなり、今年3月末時点で4937件となっている。
 届け出事業者の保有車両数ベースで見ると、全体の40%を占めることになるが、事業者数ベースで見ると導入率は8%にとどまる。この届け出件数を再び増加傾向に持っていくことが今回の国交省のミッションとなる。
 制度の定着に向けて、加賀貨物課長は、2008年の高騰時に同省が公正取引委員会とともにまとめた「トラック運送業における下請・荷主適正取引推進ガイドライン」と「トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン」の活用を促す考えを示した。
 活用を広めるため、4年前と同様に全国で説明会を開催する計画だ。
 燃料サーチャージ制を業界標準として普及させるためには、荷主の理解も欠かせない。国交省には「トラック輸送適正取引推進パートナーシップ会議」なる会議体もある。学識経験者、荷主、元請および下請けトラック事業者らが一堂に会するこうした会議も活用し、荷主をはじめとした関係者の理解を得ることも必要になろう。

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