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日本流通新聞4月2日付紙面から

社説:協同組合で業務共同化を

 日貨協連が、協同組合による運転者の共同点呼に取り組んでいる。すでに実証実験を行い、課題の抽出を行っているという。
 トラック運転者の点呼は、基本的に自社の運行管理者または補助者以外の者によることを禁じており、同一資本系列の運転者に対する点呼は例外的に認められているものの、協同組合の組合員企業相互の点呼は法律上認められていない。
 公道で事業を行うトラック運送事業にとって、安全管理、とりわけ運行管理業務は最重要業務といえる。このため事業法では、運行管理者による運転者の対面点呼を義務付けているが、「不適切なドライバーを公道に出さないようにするための『最後の砦』」(日貨協連)であるはずの運行前点呼の実施率は、極めて低いのが実情だ。
 適正化事業実施機関の巡回指導で「否」と判定された項目別ワースト3には、毎年度「点呼の実施」が入っており、「否」の比率は50%前後と高い。
 国土交通省がトラック運送事業者に監査を行った際、最も指摘件数が多い項目は点呼実施等義務違反であり、2002年に475件だった指摘件数は2007年には1137件へと5年で2.4倍に増えている。
 事業者にとって、夜間や早朝に不定期に出発する車両の運行前点呼は、点呼執行者の確保が困難で、とくに事業規模が小さいほど点呼者の確保が難しい。
 そこで、同じ悩みを抱える事業者が相互に協力して問題を解決しようというのが、今回の共同点呼の取り組みだ。相互扶助、相互支援を事業理念とする事業協同組合がトラック事業の安全性向上のための支援に乗り出すという、画期的な事業だ。
 国土交通省も「良い取り組みであり、制度的に可能となる道がないか、検討したい」(自動車局貨物課)と好意的に受け止めており、制度面での対応が期待される。
 業界内では、5台、10台といった小規模事業者の増加が問題視されており、そうした事業者が事業規模を拡大するような取り組みを進めることが、国土交通省の将来ビジョンワーキングでも論点の1つとなっている。合併や譲渡譲受という手法もあるが、グループ化したり、協同組合を活用して業務を共同化することによって生産性を向上させることが現実的といえる。
 トラック事業協同組合は、高速道路料金の引き下げなどによりその事業環境が大きく変化している。協同組合を活性化させるうえでも、組合を核とした業務の共同化への取り組みが期待されている。

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