社説:軽油急騰 サーチャージの実効性を
全日本トラック協会(全ト協)は、「危機迫る燃料高騰」への対策として、全ト協がイニシアチブを取って、全力で軽油価格高騰対策に取り組む姿勢を、15日に開いた2012年度予算総会で明らかにした。
石油情報センターが14日発表した足元の軽油店頭価格(12日時点/全国平均)は、1リットル当たり132.5円だ。132円台は昨年5月9日(132.5円)以来、11カ月ぶりの高値水準である。
2月13日時点の124.1円から1カ月で8.4円も急騰している。背景には「イラン情勢の不安が原油価格を押し上げ、円安傾向が燃料価格に影響している」といわれている。
全ト協は、燃料対策小委員会を設置したほか2月には全国石油商業組合連合会と意見交換会をもつなど、機動的な対応・行動をする体制を整えている。12年度事業計画で「軽油の安定確保と高騰対策」を最重点施策の柱としており、総会では、トラック運送業界のナショナルセンターとしての対策、行動に期待する声が出された。
トラック運送業界は、ほとんどを中小企業が占め、その6割が赤字経営を強いられている(全ト協・2010年度版「経営分析報告書」)。全ト協によれば、大半の事業者は省エネ運転の徹底をはじめコスト削減にしのぎを削り「これ以上の燃料高騰に対応する余力は残されていない」状況だという。
であるならば、政府に諸対策を要請していくべきだ。2008年3月、国土交通省と公正取引委員会が連携して、燃料サーチャージ制の導入と独占禁止法・下請法の取締り強化などを盛り込んで策定した「燃料サーチャージ緊急ガイドライン」「下請・荷主適正取引推進ガイドライン」の2つのガイドラインの実効を求める行動である。
全ト協が15日の予算総会で明らかにした軽油高騰対策・行動は現在、凍結されているトリガー制度の解除や燃料価格の監視など求めていく方針だ。また、タイミングを計りながら、2008年8月のような「軽油高騰・経営危機突破全国一斉行動」や街頭行動なども視野に置いているというものだ。
まずは、2008年3月に国交省と公取委が連携して打ち出した「軽油価格高騰に対処するためトラック運送業に対する緊急措置」を、再び行政機関と連携し荷主に周知徹底することだろう。
震災復興に物流事業者の力は、欠かせない。本格化する復興需要を前に、被災地復興のスピートを早めるためにも、全ト協の燃料高騰への対応・行動に期待したい。