社説:荷動き減退に軽油値上がり
荷動きが減退傾向を強めている。荷主企業の物流担当者が足元の出荷状況や運賃動向などを回答する物流動向調査によると、景況感はやや厳しさを増してきたようだ。
日通総合研究所が昨年12月に実施した「企業物流短期動向調査(物流短観)」によれば、2012年1〜3月の「荷動き」は鈍化傾向だ。
製造業、卸売業の国内向け出荷量『荷動き指数』は1〜3月の見通しが2011年10〜12月実績(マイナス7)に比べ5ポイント低下し「マイナス12」と、3期ぶりに2ケタ台のマイナスに下降する見通しだ。
2011年4〜6月実績では、東日本大震災の影響を受けて『荷動き指数』がマイナス21と、6期ぶりにマイナスに転じた。しかし、サプライチェーンが復旧した7〜9月実績は、V字型の回復でプラス水準へと浮上した。
2011年10〜12月の『荷動き指数』実績は、全15業種のうち過半数の8業種がマイナスとなった。前期(2011年7〜9月、プラス1)より8ポイント低下し、再びマイナスに沈んだ。
一方、1〜3月見通しは、プラス業種が木材・家具、一般機械、輸送用機械、精密機械など5業種にとどまり、残り10業種がマイナスを示している。荷動きの減退の動きが広範囲の業種に拡大する見通しだ。
運賃・料金動向では、1〜3月に大幅な変動は見込めない。一般トラック運賃の『指数』見通しは、3期連続のプラス3と横ばいで推移するもようだ。業種別では、輸送用機械がゼロ水準に浮上する一方で、金属製品がマイナスに落ち込む予想。
特積みトラック運賃の1〜3月見通しは、繊維・衣服がプラスに浮上し、輸送用機械もゼロ水準まで戻す一方、生産財卸がゼロ水準に下降する。業種全体『運賃指数』はゼロ水準(2011年10〜12月、マイナス1)と強含みでの推移を見込む。
トラック運送業界の新年会で、中小事業者から12月は「円高」と「タイの洪水被害」の影響を受けているという声を多く聞いた。
一部には、タイの洪水被害による「一時的な受注」や東日本大震災の復興事業で「資材の出荷が順調」といった事業者もいるが、貨物量の減少を訴える事業者は多い。
貨物量が減少したため営業所を集約し、車両を減車する事業者もいる。取扱高が増加した事業者も燃料価格の高止まりによるコスト増で収益状況はままならい。
23日時点の軽油店頭価格は124.3円(全国平均)と上昇傾向にある。少なくとも燃料価格の上昇分については荷主に理解を求めたい。