日本流通新聞  
スペーサー


最新ニュース

日本流通新聞11月7日付紙面から

社説:首都高料金 「値上げ」に細かい対応を

 首都高速道路料金の対距離制への移行が正式に決まった。来年1月1日から、これまでの普通車700円、大型車1400円という均一料金制が、利用した距離に応じた料金へと移行する。
 当然、短距離利用は安くなり、長距離利用は高くなるのだが、その分岐点は18kmだ。首都高速のウェブサイトで経路検索をしたところ、3号渋谷線用賀インターから谷町、三宅坂経由で都心環状線神田橋インターまでがちょうど18kmとなった。すなわち、神田橋で降りれば従来と同じ普通車700円だが、その先の6号向島線箱崎インターまで(20km)乗ると800円へと100円の値上げになる。
 一方、東京、埼玉、神奈川の3つの料金圏を撤廃するため、複数の料金圏をまたいで利用する場合には値下げとなる。さいたま新都心から東京を経由して神奈川料金圏のみなとみらいまで利用する場合、現行の普通車1700円が900円へと半額近くまで安くなる。
 ではこの対距離料金制、営業用トラックにどのような影響を与えるのだろうか。東京都トラック協会によると、会員事業者の利用の75%は東京線のみの利用で、1走行の平均利用距離は24kmだという。つまり、かなりの利用が値上げになるということだ。東ト協ではトラックの走行実態に即した料金設定となるよう引き続き要望していく方針だ。
 値上げとなるトラック事業者への配慮として、今回大口多頻度割引がNEXCO並の割引率へと拡充されることになった。これまでの最大17%から最大30%まで割引率を引き上げるというものだが、東ト協によると、利用分量が比較的少ない事業者では大口多頻度割引が適用されるETCコーポレートカードではなく、一般利用者と同様のETCクレジットカードで割引を受けているケースが少なくないという。
 だがETCクレジットカードでの利用額に応じて1〜8%割り引かれる「お得意様割」や従来の平日夜間割引、日曜祝日割引はすべて廃止される。東ト協では「都内事業者の相当数がETCクレジットカードを利用しており、これらの割引がなくなる影響は大きい」と話しており、今後も時間帯割引やお得意様割の存続を強く要望していく方針だ。
 値下げになる部分と値上げになる部分が混在しているため、まとまった大きな声にはなりにくいが、生活交通の安全確保の観点から、大型車については料金政策によりできるだけ高速道路に誘導すべきであり、国と首都高速道路にはきめの細かい対応を求めたい。

原価計算システムのご案内はこちら

原価計算システムサポートはこちら