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日本流通新聞3月28日付紙面から

社説:東日本大震災 「物流」の力に期待

 死者・行方不明合わせて2万7千人超(25日午後3時現在)という未曾有の大災害となった東日本大震災で、物流業界が救援物資輸送に全力を挙げている。
 国土交通省のまとめによると、救援物資輸送トラック台数は、政府ルートの全ト協経由で824台、自治体ルートの各県ト協経由が2018台となり、計2842台が被災地へ向かった。日本通運、佐川急便、ヤマト運輸、西濃運輸、福山通運といった大手事業者はもちろん、各県の中小事業者も「思いよ届け」とばかりに物資輸送に取り組んでいる。
 鉄道貨物も石油輸送に活躍している。東北本線がなお運休しているため、日本海側から北上し、青森経由で南下して盛岡へ向かうルートを確保して、タンク貨車による「石油列車」を走らせている。1日当たり輸送量はタンクローリー60〜70台分というから頼もしい。
 海運でも、北海道から自衛隊員1万人と車両3万5000台を輸送するなどダイナミックだ。
 被災地に届けられた物資が集積拠点に滞留し、末端輸送が滞っている問題については、国土交通省が民間物流企業の協力を得て、「物流専門家」の派遣を進めている。
 すでに宮城県に2名、岩手県に6名、茨城県に1名の計9名を派遣を決めており、避難所などまでの「ラストワンマイル」の輸送が円滑に行くことが期待されている。
 そうしたなかで、国や自治体と連携して救援物資輸送を行ってきたヤマト運輸が、被災地内の避難所や集落まで救援物資を宅配する「救援物資輸送協力隊」を編成し、自治体などに全面的に協力していく方針を発表した。
 まさしく「ラストワンマイル」のプロとして、人材、ノウハウ、車両を提供して被災者に物資を届けるという。岩手、宮城、福島の東北3県の各主管支店に協力隊を編成し、3県の全集配車の約2割に当たる200台を振り向け、人員400〜500人を投入する。
 被災地内の集落など末端部は、なお車両通行が困難な地域も残るが、同社では「歩いてでも届ける」覚悟を示している。「まだその段階ではない」と運賃の取り決めもしていないという。
 ヤマトがこうした取り組みをはじめる背景には、被災地の同社従業員の間で、被災者支援に向けた士気の高まりがあるのだという。
 無論、遠隔地から物資を長距離輸送するドライバーをはじめ、救援物資輸送に係わる関係者の気持ちも同じに違いない。「物流」が持つ様々な力に期待がかかる。

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