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日本流通新聞3月14日付紙面から

社説:グローバル化という地殻変動

 日立物流が自動車部品物流大手のバンテック買収に向け、株式公開買い付け(TOB)を開始した。取得額は最大で544億円となる大型買収だ。
 日立物流の今期売上げは3700億円、バンテックは1000億円だが、TOBが成立すれば来期ベースでは売上高5000億円を超える物流企業が誕生する見通しだ。日立物流は、13年3月期に売上高5000億円とすることを経営目標としているが、これを1年前倒しで達成することになる。同社はこれまで、資生堂物流子会社、DIC物流子会社など国内外で10社を買収してきた。来期の売上げ5000億円超のうち、2000億円超をM&Aで賄う計算になる。
 会見で日立物流の鈴木社長は「ある雑誌に『肉食日立物流』と書かれたが、当社のM&Aはいずれも先方から話を受ける受け身。山田社長は有名な経営者であり、恐れ多かったが、図々しく売却先選定プロセスに参加させてもらった。感無量だ」と先輩格の山田社長に気遣いを見せながら、目標達成に自信を見せた。
 バンテックの大株主であるファンドを介して買収が決まった両社。鈴木社長は「マーケットが同じBtoBのビジネスモデルであり、同じくメーカー系物流子会社として発足し、その後自立の道を歩んだということも大変似ている。企業文化的にも共通点が多く、親近感が持てる」と企業の類似性を決断の要素としてあげた。
 3PLを強みとする日立物流と自動車部品物流を得意とするバンテックの融合により、自動車部品物流のプラットフォーム化を進め、さらなる国内深耕と拡大を図るほか、自動車分野以外でも協業による3PL事業の強化を図る。さらに、中国、アジア、北米、欧州のグローバル事業基盤を強化し、中東欧、南米など未進出エリアへの進出を加速させる。
 今回の買収で、両社のトップがともに強調した点は、グローバルマーケットでの競争に打ち勝つための規模の拡大だ。
 円高などを背景に企業の海外シフトが加速するなかで、国内物流企業もグローバル化への対応を迫られている。国内物流の伸びが期待できないなか、グローバルマーケットでの勝敗が企業の盛衰を決める。日立物流の鈴木社長は「グローバル市場での競争に勝ち残っていくためには、さらなる規模の拡大が不可欠」と述べ、バンテックの山田社長も「企業規模がこれからの成長には大事なファクターだ」と規模の拡大を追求する意義を強調した。物流業界にも地殻変動が起きつつある。

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