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日本流通新聞2月7日付紙面から

社説:荷動き鈍化に軽油値上がり

 荷主企業の物流担当者が足もとの出荷状況や運賃動向などを回答する物流動向を調査によると、景況感はやや厳しさ増してきたようだ。
 製造業、卸売業の国内向け出荷量『荷動き指数』は、2011年1〜3月の見通しが10年10〜12月実績(プラス7)に比べ15ポイント低下し「マイナス8」と、5期ぶりに水面下まで下降する見通しだ。
 日通総合研究所が4日発表した「企業物流短期動向調査」(物流短観)によれば、1〜3月の「荷動き」には急ブレーキがかかるもようだ。
 10年10〜12月の『荷動き指数』実績は、前期(10年7〜9月、プラス15)より8ポイント低下した。しかし、全15業種のうち6割に当たる9業種が『荷動き指数』プラスを示し、底堅く推移した。
 一方、1〜3月見通しでは、プラスの業種が化学・プラスチックなど4業種にとどまり、残り11業種がマイナスを示して、荷動きの減退の動きが広範囲の業種に拡大する見通しだ。
 運賃・料金動向では、1〜3月は大きな変動は見られない。一般トラックは繊維・衣服など4業種がマイナスに落ち込み、化学・プラスチックもゼロ水準まで下降すると予想。運賃水準はやや低下方向に動くとみられる。
 一方、トラック運送業界の景況感は、10年10〜12月に改善したが、11年1〜3月は「悪化」を見込んでいる。運賃・料金水準も建設関連貨物は相対的に厳しいが、全ての品目で下げ止まりの傾向がみられる。
 ただ、懸念されるのは、原油高に伴う軽油価格の上昇である。
 石油元売り各社の1月「軽油卸価格」改定幅は、2・7円から2・9円引き上げた。12月の「3・8円」水準を下回ったものの、昨年10月以降の4カ月で9円値上げしたことになる。
 中小・零細企業の多いトラック運送事業は、燃料油脂費が全体構成の2割を超えているという。軽油の値上がりは即、経営の圧迫に繋がっている。景況感は「悪化」傾向の指標を示しているが、再び「燃油サーチャージ」を検討していかなければならないだろう。
 1月31日時点の軽油店頭価格は118・4円(全国平均)と、8週連続で値上がりしている。「1円でも安く」と頑張っている協同組合関係者もいる。東京都トラック運送協同組合連合会では「1円値上がりすると、1カ月の負担額は1千万円近くなる」そうだ。
 厳しい情勢だが、燃料価格の上昇分について、荷主に理解を求めるのは当然の行為だ。

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