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日本流通新聞12月13日付紙面から

社説:高速料金値上げ回避を歓迎

 国土交通省が来年4月以降の高速道路料金案を民主党の国土交通部門会議に提示した。7日と9日の2日間に渡って国交省と党との意見交換が行われ、7日に出された党側からの意見を踏まえて、9日に国交省案を示したものだ。
  国交省案では、乗用車の上限料金制については、観光を中心に一定の評価を得ていることから継続するが、現在の土日祝日上限1000円としていることにより発生している大渋滞を緩和し、休暇を分散化する観点から、曜日を問わずに上限2000円とした。軽自動車と低燃費のエコカーについては上限1000円とするが、それ以外の土日祝日の利用者は1000円の実質値上げとなる。
 トラックについては、平日深夜5割引、平日昼間3割引など現行の時間帯割引と大口多頻度割引を継続する。輸送コストの低減に効果が大きいためだ。また、上限制については、フェリーやJRなどの他の輸送に影響が大きいため、導入しないことにした。
 9日の国土交通部門会議後の会見で池口副国交相はトラックの料金について「今までと全く同じ」と値上げにならないことを強調した。
今年4月9日に前原前国交相が発表した新料金案は、乗用車2000円、中・大型車5000円、特大車1万円という上限料金制で、トラック運送業界からは「利用者の8割が値上げになる」として反発の声が上がり、トラック議員連盟が動いて国交省も6月の実施を見送らざるを得なくなった。
 その後、割引財源を建設費に回せるようにする高速道路関連法案の国会審議も行われず、秋の臨時国会での会期末処理でついに廃案となった。割引財源を全額割引に使える前提となったことで、膠着状態にあった料金問題が一気に動き出した。
 トラック議連に設置された物流交通政策ワーキングチーム(川内博史座長)も急遽開催され、7日の部門会議に議連としての提言を提出した。川内氏が7日の会議で「全ての高速道路利用者が現に支払っている料金を改正後の料金が上回ることがあってはならない」と議連の緊急提言を読み上げると、出席した議員から大きな拍手が沸き起こった。
 池口副国交相は9日の会見で「4月の案の考え方は踏襲していない」と述べ、前原案の事実上の撤回であるとの認識を示した。
 トラック議連側は、大口多頻度割引の割引率を拡大するよう求めており、なお国交省側との調整は残るが、ひとまず値上げを回避できたことは歓迎すべきだ。


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