税は公平、透明、納得で

トラック労使とバス、タクシー業界が、民主党マニフェストに沿った自動車関係諸税の見直しを求め、24日東京で要請行動を展開することになった。約700人が参加して、憲政記念館での要請集会、デモ行進、議員会館前での座り込みを行う。
 来年度税制改正の議論が本格化する時期に合わせて、マニフェストに沿った諸税の見直しを改めてアピールすることが狙いだ。
 環境省は、来年度税制改正ですべての化石燃料に課税する地球温暖化対策税の導入を要望しているが、ガソリンに対しては旧暫定税率(当分の間税率)をそのまま温暖化対策税に衣替えする案となっており、自動車ユーザーを中心に反発の声が高まっている。
 自動車用燃料であるガソリンと軽油には本則税率に加えて暫定的に高い税率が課せられている。モータリゼーションの進展に伴い、急速に増える自動車交通需要に対応するため、緊急に道路整備を進める必要があったためだ。
 ところが、すでに道路特定財源制度は廃止され、一般財源化されてもなお、財政が厳しいとの理由で暫定税率は「当分の間の税率」として維持された。その暫定税率相当分をそのまま温暖化対策税に名称を変え、恒久化しようというのは、あまりにも乱暴だ。
 一般財源化により、すでに自動車ユーザーだけがより多くの税負担をする根拠は消失している。地球温暖化防止対策の財源は、自動車ユーザーだけでなく、広く国民全体で公平に負担すべきものだ。
 民主党は昨年の衆院選マニフェストで、温暖化対策税の創設に際して、特定の産業に過度の負担とならないような制度設計をすると約束していた。
 このためトラック、バス、タクシー業界による要請行動では、旧暫定税率の廃止とともに、マニフェストに沿った、納税者が納得できるような税制案を検討するよう求める。
 車体課税についても、総務省が2012年度の導入をめざして自動車税と自動車重量税を一本化した環境自動車税の創設を構想しているが、マニフェストでは「自動車重量税・自動車取得税は簡素化とグリーン化の観点から、全体として負担を軽減する」と明記しており、これについてもマニフェストに沿った負担軽減を求める。
 政府や地方団体が提案する環境関連税制は、まず財源確保ありきの印象をぬぐえない。税の効果や税収の使途も精査したうえで、公平、透明、納得という「民主党税制3原則」を踏まえたものとすべきだ。

(日本流通新聞2010年11月22日付)