トラック議連の活動に期待

民主党トラック議員連盟がワーキングチームを設置し、具体的な行動を開始した。実質値上げとなる高速道路新料金の6月実施を阻止した後、夏の参院選、9月の党代表選、小沢元代表への検察審議決などの政治的な節目を経て、ようやくエンジンが始動した。
 参加議員200名弱という、党内の業界別議連としては最大級の規模を誇る。先の代表選で小沢氏を支持した議員らが中心となっていることも大きな特徴だ。
 設置したワーキングは2つだ。1つは税制政策WTで、税制問題ととくに交付金問題を担当し、議連副会長の松原仁衆院議員(東京3区)が座長を務める。もう1つは物流交通政策WTで、高速道路料金問題を検討する。座長には、先の通常国会で衆院国土交通委員長として関連法案の審議に応じなかった川内博史衆院議員(鹿児島1区)が就いた。
 高速道路料金問題が「棚上げ状態」(民主党議員)となるなかで、喫緊の課題は税制だ。地球温暖化対策税や地方環境税の導入は政権の大きな課題だが、産業界、労働界はともに導入反対の大合唱。民主党内や政府税調でもとりまとめが難航しそうだ。
 トラック燃料税である軽油引取税の扱いに大きく関係してくるのが運輸事業振興助成交付金だ。
 とくに、交付金制度を批判してきたことで知られる片山善博総務相が先月26日の衆院総務委員会で、交付金を交付するよう各都道府県に求める副大臣通達について「拘束力はなく、従うか、無視するかは勝手だ」と発言したことが波紋を広げている。
 これに対し全日本トラック協会は11日の民主党トラック議連総会に緊急要望を提出。暫定税率相当分の速やかな廃止を求めるとともに、暫定税率相当分を継続する場合は、交付金の継続が絶対の前提条件だと主張。「通達に従う必要はなく、出すか出さないかは都道府県の勝手」とする総務省の主張に対しては、「暫定税率分を負担し続ける納税者を愚弄する論外の議論だ」と切り捨てた。
 交付金制度は、暫定税率導入時に、税率に営自格差を設けることが徴税技術上困難なために、税の軽減措置に代えて創設された制度だ。交付金を出さないというのであれば、暫定税率を廃止するのが筋だろう。
 いずれにしろ、トラック議連が動き始めたことは業界にとって歓迎すべきことだ。
 環境税、交付金、さらに高速料金という重要課題の解決に向け、議連の活動に期待したい。

(日本流通新聞2010年11月15日付)