環境課税に議論の余地あり
民主党税制改正PT地球温暖化対策税検討小委員会による団体ヒアリングが佳境を迎えている。
10月6日以降、27日まで毎週水曜日に会合を開いており、これまでに計28団体の意見を聴取した。全国知事会など地方3団体を除き、地球温暖化対策税(環境税)の導入に明確に賛意を示した団体は皆無で、「断固反対」から「慎重に検討を」まで、濃淡こそあれ異論ばかりだ。
暫定税率廃止では共同戦線を張った自動車関連業界と石油業界もヒアリングに応じ、「導入反対」で足並みをそろえた。
日本自動車工業会は「国際競争力への影響や既存税制との関連、使途、排出量取引など他の手法との関係に留意すべきであり、総合的な議論がないまま新たな負担を課す議論には反対だ」と訴え、石油連盟も「自動車ユーザだけが過度な負担を強いられるとともに、地方と都市の格差拡大につながる」などと異論を唱えた。
全日本トラック協会も10月27日の小委員会に出席し、中西会長が「暫定税率相当分を維持し、加えて新税を創設し増税するものだ。マニフェストにも納税者の期待にも逆行するもので、到底受け入れられない」など述べて絶対反対を主張した。
自動車、石油、トラックなど自動車関連団体が反対するのは、「地球温暖化対策のための税」とうたっているにもかかわらず、ガソリンなどの当分の間の税率(旧暫定税率)をそのまま温存するもので、自動車ユーザーだけが過度な負担を強いられる、財源ありきの案であるからだ。さらに原油などの輸入段階でも課税するため、昨年の環境省案では1兆円超の増税となる。
10月28日の政府税調でも、環境課税を巡り各省間で応酬があった。全国知事会は、軽油引取税の暫定税率相当分をそのまま「地方環境税」に移行する案と、自動車税と自動車重量税を一本化する「環境自動車税」を創設する案を要望したが、五十嵐副財務相は地方環境税について「地球温暖化対策での国と地方の役割を精査してから考えたい」とコメントし、さらに環境自動車税については「自動車重量税をCO2割にする案もあり、十分論議する余地がある」と慎重な姿勢を示した。
環境自動車税については自工会、自販連、全ト協など自動車関連業界も強く反発しており、政府税調でも池田副経産相が「拙速に結論を出すべきではない」とクギを刺した。
党税制改正PTの小委員会では11月中旬に中間提言をまとめる予定だが、環境課税についてはまだまだ議論の余地があるといえる。
(日本流通新聞2010年11月1日付)