高速料金、新政務3役に期待
臨時国会が1日開会した。最大の課題は、円高、デフレを背景とした景気下振れリスクに対応するための補正予算編成だろう。景気回復を確かなものにするため、①雇用・人材育成②新成長戦略の推進③子育て、医療、介護、福祉④地域活性化、社会資本整備、中小企業対策⑤制度・規制改革──の5本柱で、国土交通省ではこのうち④について、効果的な対策の検討を進めている。
国土交通省にとって、今臨時国会におけるもう一つの大きな課題は、高速道路問題だ。なかでも来年4月以降の高速道路新料金をどのような制度としていくかが、トラック運送業界にとっても最も気になるところだ。
馬淵国交相以下、国土交通省の新政務3役は、12月3日まで2カ月余りの臨時国会会期中に、料金、新規建設を含めた高速道路問題を解決したい考えだ。
馬淵国交相は就任会見で「来年3月で乗用車の土日上限1000円という割引が切れ、首都高・阪高の均一料金も来年3月までだ。具体的な方向を示さなければならない時期に来ている」と検討を急ぐ考えを示した。
ただ、一方で参院では与野党が逆転する「ねじれ国会」であり、与党だけでなく野党も納得できる内容に仕上げる必要がある。馬淵氏は「法案審議が簡単に進まないので、党政調、党国対、政務3役が連携して具体策を見出したい」と述べている。
担当する副大臣は、新任の池口修次副国交相だ。本田技研および自動車総連出身の池口氏は高速道路問題に造詣が深く、就任会見でも踏み込んだ発言が目立った。
池口氏は、新料金制度見直しの方向について「(当初案より)引き下げる方向で検討しないと理解を得られない」と述べ、前原前国交相が4月に発表し、各方面から「実質値上げだ」との批判が相次いだ、上限料金制(乗用車2000円、トラック5000円、特大車1万円)を引き下げる方向で見直す考えを示した。
さらに池口氏は、「民主党の高速道路無料化の目的は、平日の輸送コストを低減して地域の活性化につなげること」、「日本の物流のほとんどを担うトラック輸送の利便性を追求することが必要」などと、高速道路料金を考えるに当たり、トラック輸送を重視する発言をしている。
さらに、高速道路建設のための財源については、割引財源とは別に手当てする考えも示唆している。
「原則無料化」の大方針の下、少なくとも値上げになることのないよう、国交省新政務3役の検討に期待したい。
(日本流通新聞2010年10月4日付)